最新記事

コンピュータ

量子コンピュータ推進で文科省32億円 欧米より1ケタ少なく危機感

2017年8月31日(木)19時38分


NTTは機能特化で勝負

一方、量子アニーリングマシンは、イジングモデルという相互作用している多数の磁石(スピン)が自然に安定した組み合わせになる現象を利用して計算する。

量子ゲート方式とは違い、用途は組み合わせ最適化問題に限られるが、カナダのディーウェーブ・システムズが2011年に世界初の商用量子コンピューターとして売り出して注目を集めた。

組み合わせ最適化問題とは、膨大な数の選択肢の中から一番良い選択肢を見つけ出す問題で、「巡回セールスマン問題」が有名だ。

セールスマンが各都市をまわる最短経路を探すという単純な問題だが、これがそう簡単には解けない。都市数が5のときは経路は12通りしかないが、10になると18万1440通り、20になると6京0822兆通りとなる。

60都市ではなんと10の80乗通りと、観測可能な宇宙にある全原子数と同じ数まで増加する。

従来のコンピューターでは、組み合わせの数だけ計算をしなければならず、一定以上のデータ量になると計算時間が爆発的に増え、解くのは事実上不可能となる。

これに対し、多くの組み合わせ最適化問題はイジングモデルに変換できるため、この原理を用いたマシンは短時間に問題を解くことができる。

NTTが開発している「コヒーレントイジングマシン」もイジングモデルに基づいて計算しており、量子アニーリングと同じグループに属する。

「2018年度の終わりごろには、10万スピンのマシンが動いているはずだ」──。NTT物性科学基礎研究所量子光制御研究グループの武居弘樹上席特別研究員はこう話し、現行モデルの50倍のスピン数を持つ次世代コンピューターの開発に自信を示した。

スピンは量子ビットに相当し、増えれば増えるほど、より大規模な問題を扱えるようになる。

組み合わせ最適化問題は、交通網や電力送電網の最適化、周波チャネルの効率的な割り当て、投資ポートフォリオの最適化、創薬など、幅広い分野への応用が期待されている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国外相、キューバ外相と会談 国家主権と安全保障を

ビジネス

マレーシア、今年の成長予測上げも AIブームが後押

ビジネス

英建設業PMI、1月は46.4に上昇 昨年5月以来

ワールド

ドイツ企業、政府の経済政策に低評価=IFO調査
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染拡大する可能性は? 感染症の専門家の見解
  • 3
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 4
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 5
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 6
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    トランプ不信から中国に接近した欧州外交の誤算
  • 9
    アジアから消えるアメリカ...中国の威圧に沈黙し、同…
  • 10
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 7
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 8
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中