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習近平、ダボス会議で主役 ――「鬼」のいぬ間に

2017年1月18日(水)13時33分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

ウクライナの大統領とも会談する習近平国家主席

 習主席は17日、ダボスで、ウクライナのポロシェンコ大統領とも、実ににこやかに首脳会談をした。中国共産党の機関紙「人民日報」の電子版「人民網」が伝え、中央テレビ局CCTVが習主席とポロシェンコ大統領の晴れやかな笑顔を大きく映し出した。

 ウクライナと言えば、昨日のコラム「露ハッキング喜ぶ中国――トランプ・プーチン蜜月を嫌い」で書いたように、まさにロシア(のプーチン大統領)とは犬猿の仲。クリミア問題で衝突したままになっている。

 そのウクライナの大統領と会うということは、プーチン大統領に「仇(かたき)」と会っていることを見せつけて、やきもちを焼かせようという魂胆か。外交戦略とはいえ、なんとまあ、露骨なことをするのだろう。

 スイスのロイトハルト大統領に見せたときの笑顔よりも、さらに「とろけるような笑顔」をポロシェンコ大統領に見せる「習近平」という男の「さま」に、唖然とした瞬間だった。

 トランプ次期大統領はこの日、イギリスのEU離脱を讃え、離脱者が続くだろうと言って、EU加盟国に不快感を与えた。

 まもなく誕生するトランプ政権が地球上に起こすであろう地殻変動は、留まるところを知らない。

endo-progile.jpg[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)


※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。

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