最新記事

フランス大統領選

フランスに極右政権誕生!を防ぐのはこの男?

2016年11月22日(火)17時40分
ジョシュ・ロウ

 一方のプーチンは、フランスの有権者たちにとっては遠方の危険だが、ヨーロッパ政界のエリートたちにとっては差し迫った危険だ。イギリスのブレグジット(EU離脱)、ならびにアメリカにおけるドナルド・トランプ台頭という追い風に乗って、プーチンは西ヨーロッパの政治家たちを震え上がらせてきた。シリア内戦に介入したプーチンの自信と東欧への勢力拡大の試みが、ヨーロッパの反ロシアムードを煽っている。

「強いリーダーシップ」が魅力の一つであるルペンは、プーチンに平然と共感を寄せる。それはヨーロッパの右派ポピュリストにはよくあることだが、驚くのは、フィヨンがプーチン寄りであることだ。

 L'Express(レエクスプレス)誌によるとプーチンは、ニコラ・サルコジが2012年の大統領選でオランドに敗れると、その翌日に、サルコジ大統領のもとで当時首相を務めていたフィヨンに電話を入れたという。最近では、ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)と戦うべく、フィヨンがプーチンに連携を呼びかけている。つまり、フィヨンとルペンの決選投票が実現すれば、いずれが勝利をおさめようとも、親クレムリンの大統領が誕生することになる。

 もしフィヨンがルペンを勝ために必要な資質を持っているなら、彼はフランスの進歩主義者と外国の指導者たちから感謝されるだろう。それまでは、フィヨンは不確実な時代における未知数の存在だ。ヨーロッパはしばらくの間、フランスの動向を息を殺して見守ることになるだろう。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

G7外相、イスラエルとイランの対立拡大回避に努力=

ワールド

G7外相、ロシア凍結資産活用へ検討継続 ウクライナ

ビジネス

日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え

ワールド

アラスカでの石油・ガス開発、バイデン政権が制限 地
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離れ」外貨準備のうち、金が約4%を占める

  • 3

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の衝撃...米女優の過激衣装に「冗談でもあり得ない」と怒りの声

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 6

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    「イスラエルに300発撃って戦果はほぼゼロ」をイラン…

  • 10

    日本の護衛艦「かが」空母化は「本来の役割を変える…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体は

  • 4

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 5

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 9

    帰宅した女性が目撃したのは、ヘビが「愛猫」の首を…

  • 10

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中