最新記事

ロシア

プーチンが同性愛カップルのEmojiを禁止?

一昨年の「同性愛宣伝禁止法」の制定以降、取り締まりを強化するロシア政府

2015年7月31日(金)17時57分
アイリッシュ・オガラ

時代錯誤 同性愛の宣伝活動は違法という法律に抗議する人々(写真は昨年、ロンドン・ロシア大使館前) Neil Hall-REUTERS

 ロシア政府がすべてのソーシャルメディア上で、同性愛カップルのEmoji(絵文字)の使用を禁止するかもしれない。こうしたEmojiの使用が、同性愛の「宣伝」を禁じる法律に違反しないか政府が調査している、とロシアの日刊紙イズベスチヤが報じた。

 ロシアの通信・情報技術・マスコミ監督庁は、与党・統一ロシアの青年親衛隊ナーシに対して、この調査への協力を要請する書簡を送ったことを認めた。アップルのiPhoneなどから入手できる、同性カップルが手を繋いだりキスしたりする様子を表現した絵文字の使用が増えていることに注目している。

 ロシアでは2013年6月に成立した法律で、「非伝統的な性関係を宣伝」することを禁じた。これらのEmojiは、この法律に抵触するというのだ。

 そもそも今回の調査は、極右政党・ロシア自由民主党所属のミハイル・マルチェンコ上院議員が要求した。マルチェンコは、ソーシャルメディア上では、LGBT(性的少数者)を象徴する虹をあしらうなどしたスマイルマークが、同性愛の宣伝に使われていると主張している。

 マルチェンコによると、同性愛Emojiの使用は「ソーシャルメディア上で、未成年に非伝統的な性関係を宣伝する」もので、「家族観を否定し、両親や家族への不敬の念を醸成する」という。

 ナーシの広報担当者キリル・グリチェンコはイズベスチヤの取材に対し、監督庁から連絡はないと否定した。しかし同時に同性愛Emojiの使用について調査する意向があることも認めた。

 同性愛Emojiの使用が違法と判断されれば、「子供たちを健全な育成にとって有害な情報から保護する」名目で禁止されることになる。

 ロシア政府は13年以降、ネットなどで同性愛に関する情報を発信したり、同性愛者の人権を訴えたりしているとみなした個人や企業を摘発している。

 今週、十代のLGBTのコミュニティサイトを設立したエレナ・クリモバが5万ルーブル(約10万円)の罰金刑を裁判所で言い渡された。クリモバの罪状は、ウェブサイトやソーシャルメディアで「未成年者に対して非伝統的な性関係を宣伝した」罪だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 6
    「搭乗禁止にすべき」 後ろの席の乗客が行った「あり…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    仕事が捗る「充電の選び方」──Anker Primeの充電器、…
  • 10
    ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パート…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 7
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 8
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中