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ビーガン食しか出さない保育園 健康な体は作れるのか?

Do Vegan Kids Get Enough Nutrition?

2018年08月15日(水)12時00分
メリンダ・モイヤー

子供の体はさまざまな栄養を土台に作られる PEOPLEIMAGESーE+/GETTY IMAGES

<「卵、牛乳なし」は体によく、癌のリスクが減るとされるが栄養不足で子供の成長に支障が出る恐れも>

ニュージャージー州ジャージーシティーにある保育園スカンジナビア・スクールは、1~6歳の園児の給食にビーガン食しか出さない。ビーガンは、卵も乳製品も一切取らない完全菜食のこと。園児が食べるのはチキンナゲットやピザではなく、きのこのラザニアや味噌スープだ。

ここまで徹底できるのはすごいが、栄養は足りるのだろうか。

専門知識を持つ保護者や教師がしっかり目配りしない限り、ビーガンの子供は栄養不足に陥り、発育不良になりかねない。アメリカ小児科学会(AAP)のウェブサイトには「乳製品と卵なしに栄養バランスを取るのは非常に難しい」とある。栄養バランスが取れていても、ビーガンの子供は肉も食べる子供に比べて、やや小柄になりがちだ。

第1に、ビーガンの食生活はカロリー不足の傾向がある。ブリュッセル・フリーイェ大学などのグループが14年に行った研究によれば、ビーガンを実践している人の摂取カロリーは乳製品や卵を食べるベジタリアンよりも12%、肉食よりも20%少なかった。活動量の多い子供が十分にカロリーを取れないと、成長と発達の妨げになる。

もう1つの大きな問題はタンパク質。米国立衛生研究所(NIH)によれば、タンパク質は「細胞や器官の構造と機能と調整に欠かせない」ので、子供は十分な量を取ることが必要だ。

タンパク質を構成するアミノ酸の中でも、「必須アミノ酸」は私たちの生存に欠かせない物質だが、人体内では生成できない。肉や魚や卵には全ての必須アミノ酸が含まれるが、植物由来の食品の多くには完全に欠如しているか、含まれていてもごく微量だ。

ビタミンB12も重要だ。肉や乳製品、卵と違い、野菜や果物にはこのビタミンが豊富に含まれていない。そのためビーガンの子供はビタミンB12が不足しやすく、いずれ貧血や深刻な神経障害を引き起こしかねない。

米国臨床栄養学ジャーナルに掲載された論文によると、6歳までビタミンB12が不足気味だった子供は、10代に入ってから抽象的・論理的思考、空間認識能力、短期記憶に問題が生じる確率が高かった。また乳児の頃に著しくB12が不足していると、脳の成長不良や発達障害の引き金になるという。

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