最新記事

金持ち税

フランス富裕層「75%課税」はついに断念?

ロシア国籍を取得するセレブまで登場したことで批判がさらに集中。オランド政権の増税策は骨抜きになりそうな気配

2013年1月8日(火)17時42分
ファイン・グリーンウッド

さらば祖国 プーチン大統領から直接ロシアのパスポートを手渡されたドパルデュー(1月5日) RIA Novosti-Reuters

 大幅増税の影に脅かされていたフランスのスーパー富裕層たちも、とりあえずホッとひと息つけるかもしれない。

 同国のオランド政権は、年収100万ユーロを超える高額所得者に対して税率75%を課すという増税策を提案していたが、12月末に待ったがかかった。フランスの法律や条約に関する違憲審査を行う憲法会議がこの法案は違憲であるとの判断を下したのだ。

 同法案は国内の富裕層から猛烈な反発を招いた。国民的俳優ジェラール・ドパルデューもそんな反対派の一人。抗議だけではおさまらず、フランス国籍を返上してロシア国籍を取得してしまった。

 憲法会議の今回の判断を受けて、ドパルデューも心変わりするかもしれないが、これで富裕層が危機を脱したと考えるのはまだ早い。所得税が一律13%のロシアのようになる日は当分来なさそうだ。

代替案はマイルドになりそう?

 オランド大統領は現在、「75%課税」に代わる税制案を検討中。 一連の騒動でビジネス界や超富裕層から激しい批判を浴び、フランスの評判がガタ落ちになったことを考えると、修正案は前回のものよりずっと穏当なものになると、実業界や経済学者はみているようだ。

 ただしフィナンシャル・タイムズによれば、修正案は5年間適応される可能性があるという(「75%課税」案は2年間の限定措置とされていた)。

 一方で政府は、失業率を押し下げる取り組みの一環として、2013年の予算から20億ユーロを雇用促進のために再配分する方針を明らかにした。オランドは新年早々、雇用を回復する決意を表明。さらに、フランスが予測されていたよりも「早く力強く」立ち直ることを期待していると語った。

 ドパルデューは先ごろ、黒海沿岸の別荘地ソチにてウラジーミル・プーチン大統領と面会し、大統領から直接パスポートを手渡された。現在は、ロシア中部モルドヴィア共和国で住居を探しているとも伝えられている。

 一方、フランスの往年の女優ブリジット・バルドーもロシアの国籍取得を申請すると表明。とはいえ、彼女の場合は増税ではなく、フランス中部リオンの動物園でゾウ2頭に対して出された殺処分命令に抗議してのことだ。

 ロシアがフランスのわがままセレブに辟易するのも時間の問題かも?

From GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾総統「26年は重要な年」、主権断固守り防衛力強

ワールド

再送トランプ氏、シカゴやLAなどから州兵撤退表明 

ビジネス

ビットコイン、2022年以来の年間下落 最高値更新

ワールド

ゼレンスキー氏「ぜい弱な和平合意に署名せず」、新年
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中