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【写真特集】エストニアだけど「ほぼロシア」ナルバ住民が語る禁断の本音
LAST STOP: NARVA
Photographs by Mario Heller
ロシアと国境を接するエストニア東端の都市ナルバの若者キリル(右)とガールフレンドのドゥリヤ(左)は共にナルバ生まれで、言語も文化もどっぷりロシアにつかって育った。「首都タリンでナルバの住民はよく差別を受ける。ロシア正教会の屋根にちなんで『タマネギ』とからかわれたりした」とキリルは言う
<エストニアのロシア国境に位置するナルバ。人口の98%はロシア語話者で、ロシアとの文化的・家族的な繋がりが深い。住民には「ナルバは実質的にロシア」「自分はエストニア人だと感じない」と語る者もいれば、「もしロシアが侵攻してきたら祖国エストニアのために戦う」という者もいる。彼らの複雑なアイデンティティと偽らざる本音>
EU最東端の都市の1つ、エストニアのナルバとロシアとの間に架かる橋の名は「友情の橋」──まるで悪い冗談のようだ。幅100メートルの川を隔て、かつて両国の住民が頻繁に行き交っていたこの地は、今やにらみ合いの場と化したばかりか第3次世界大戦の震源地になる可能性すらある。
2022年のウクライナ侵攻開始直後、ロシアのプーチン大統領は、ナルバは歴史的にロシアの一部であり「奪還」しなければならないと示唆した。これにエストニアは警戒を強め、この小国は以来、どの国よりも熱心にウクライナを支持し続けている。
とはいえ、ナルバの住民の98%はロシア語話者で、ロシア国内に親族のいる人も多く、ロシアとの文化的・精神的つながりが強い。政府によるソ連記念碑の撤去や、全学校でのエストニア語完全移行政策は、住民の間に軋轢を生んでいる。「ナルバは実質的にロシアだ」と語る人は多い。
その一方で、志願制の国防組織に参加し、祖国エストニアに忠誠を誓う住民もいる。高い失業率と複雑なアイデンティティー、不透明な将来にさいなまれ、ナルバには陰鬱な空気が漂っている。

【エストニア・ナルバ】
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Photographs by Mario Heller-Panos Pictures
撮影:マリオ・ヘラー
ドイツ・ベルリンを拠点とするスイス人写真家。2015年にパティシエからプロの写真家へと転身した。主に欧州、中央アジアの社会構造と文化的背景の関係性をテーマに独自の写真作品を制作する一方、新聞・雑誌の編集部にフォトエディターとして勤務する
【連載第1018回】Newsweek日本版 写真で世界を伝える「Picture Power」2026年2月24日号掲載





