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インタビュー:迎撃ドローンに中東や欧州から引き合い、出資先の拡大模索=テラドローン社長

2026年04月08日(水)14時23分

ドバイ国際空港付近でドローン攻撃により煙が立ち上る様子。アラブ首長国連邦で3月撮影。REUTERS

Maki Shiraki Tim Kelly

[東京 8日 ロイ‌ター] - テラドローンがウクライナ企業と手‌掛ける迎撃無人機(ドローン)に、中東や欧州か​ら引き合いが来ている。イランから飛来する安価なドローンを湾岸諸国が1発数億円のミサイルで⁠迎撃する経済的な非合理性が背​景にあり、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアなどから問い合わせがあるほか、ロシアに近いポーランドなど欧州で関心が高いという。同社の徳重徹社長はロイターとのインタビューで、「今回の中東戦争で迎撃ドローンの重要性が一気に可視化された」と⁠述べた。

産業用ドローンに特化していたテラドローンは3月末、オランダ子会社を通じて迎撃ドローンを手掛けるウクライナのアメイジング・⁠ドロ​ーン社に出資した。ウクライナの実戦に投入しているアメイジング社の知見や開発力を生かし、迎撃ドローンを同国で月1000機の生産規模に拡大、自社の販売力を生かして各国に輸出する計画。価格は1機当たり40万円程度に抑える。

ウクライナにはドローン企業が1000社程度あるとされ、テラドローンはアメイジング社以外とも提携を模索。徳重氏は「アメイジング社はあくまで⁠第一歩にすぎず、今後も出資案件はいろいろ出てくる」と‌語った。防衛装備は実戦で有効性や信頼性を証明した「バトル・プルーブン」が⁠重要であ⁠ることから、他国からの受注のためにウクライナでの運用を通じた実績づくりを優先する。徳重氏は「ウクライナは資金、海外へ売る経験と能力、量産体制、この3つに困っている。彼らは戦後の復興ではなく今助けを必要としている」とも述べた。

米国とイスラエルによるイ‌ラン攻撃で情勢が悪化した中東では、イラン製の安価な自爆型ドローン「​シャヘ‌ド」に対処するためパトリ⁠オットなどのミサイルが使われ​ている。パトリオットが1発400万ドル(6億円)なのに対し、シャヘドは2万─5万ドル(300万━800万円)。対イラン軍事作戦が始まった2月28日からの3日間で、湾岸諸国は800発のパトリオットを発射した。迎撃ミサイルは米軍を中心に不足状態にある。

徳重氏は「(1発)数億円の迎撃ミサイルを使い続けるのは経済的に成り立たない。ミサイルが枯渇す‌る現実を各国が突きつけられた」と述べ、迎撃ドローンの需要拡大に期待を示した。

テラドローンは、大量の無人装備で沿岸防衛構想を描く日​本も輸出先候補に挙げる。獲得した技術⁠を使って日本で「国産化」することも視野に入れる。一方、中国製部材をサプライチェーン(供給網)からどう排除するかは課題だ。徳重氏は特に電池に言及し、政府が「強​制的に」作らせないと内製化は難しいとの見方を示した。電波利用を巡る規制も問題に挙げ、「アジャイル(敏捷)に技術開発し、実運用で先行できるかが勝負。日本のものづくりの強みも生かせる」と述べた。

(白木真紀、Tim Kelly  編集:久保信博)

*7日にインタビューしました。

ロイター
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