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マクロスコープ:中東ショック、全業種に波及 「赤字転落」相次ぐ恐れ

2026年04月06日(月)15時57分

川崎市の京浜工業地帯に位置する石油精製所の近くを航行する小型タンカー。3月17日撮影。REUTERS/Issei Kato

Yusuke Ogawa

[東‌京 6日 ロイター] - 中東紛争を巡る原油高の影響が、国内‌のあらゆる業界に波及している。直近の情勢を反映した民間調査によると、​全10業種で一斉に景況感が悪化した。コスト上昇で製造業や運輸業の不調が目立ったほか、消費者の節約志向を反映して小売業も落ち込んだ。

化⁠学肥料が不可欠な農林水産業や、塗料を使う​建設業では資材の調達難も広がっており、中東情勢の混迷が長引けば、赤字に転落する企業が相次ぐとの試算が出ている。

「想定よりも悪い数字だ。次回の4月調査から中東ショックの影響が本格化すると思っていたが、(変化が)すぐに出ている」。帝国データバンクの担当者はこう話す。同社は3月下旬にアンケートを実施し、4月3日に結果を発表。1日公表の日銀短観と違って、回答期間が直近まで及⁠んだこともあり、中東情勢を巡る警戒感が色濃く表れた格好だ。

帝国データによると、景気DIは、原油の高騰が響き、前月比1.4ポイント減の42.9だった。全業界がそろって悪化したのは、2年6カ月ぶり。人手不足を背景とした労⁠務費の上昇に​加え、円安進行による輸入コストの増加も重なった。

業種別では、「運輸・倉庫」が前月比5.3ポイント減の38.5と、3年1カ月ぶりに30台に落ち込んだ。「製造」は1.3ポイント減の40.5と、6カ月ぶりに悪化した。ナフサなどの石油由来原料の調達難から「化学品製造」が大幅下落したほか、大手自動車メーカーが中東向けに減産した影響を受けて「輸送用機械・器具製造」も苦戦した。

同調査は全国約2万3000社を対象とし、景況感を7段階で判断してもらい、点数化して景気DI(景気動向指数)を算出している。

事業規模別では、「大企業」「中小企業」「小規模企業」が軒並み悪化した。地域別でも⁠全国10地域すべてが下落し、とりわけ瀬戸内エリアに化学品工場が集積する「四国」の不振‌が顕著だった。

同社の推計によると、燃料費が昨年より3割増加した場合、営業利益は5%ほど減少し、約3%の企業が新たに赤字に転落する⁠という。⁠なかでも、運輸業では4社に1社が赤字転落すると見込む。

<消費意欲指数、過去10年で最低>

日本は原油備蓄量が比較的多いこともあり、現時点では、他のアジア諸国と比べて、経済に大きな混乱は生じていない。だが、モルガン・スタンレーMUFG証券はレポートで、ホルムズ海峡の封鎖が長期化し、ブレント原油価格が1バレル150ドルを超える場合、「日本経済はマイナス成長や景気後退リスクが高まる可能性が高い」と分析。

サプライチ‌ェーン(供給網)の混乱や中小企業の資金繰りの逼迫などが相まって「経済が非線形的に悪化するリス​クを強く‌意識する必要がある」との見方を示した。

企⁠業業績の悪化や株価の下落を警戒し、早くも消費​者の節約意識が高まっている。帝国データの調査では、婦人・子供服小売から「春物の動きが悪い」、時計製造からは「消費者の生活防衛の傾向が出ている」との声が聞かれた。

日銀が6日発表した4月の地域経済報告(さくらリポート)では、「賃上げを背景に、若年層やファミリー層のレジャー施設の利用が好調」(長野県内のサービス業)といった意見があった一方で、九州地方のスーパーから「セール期間の集中度合いが強まっているほか、‌牛肉より安価な豚肉が選好されている」という声が寄せられている。

博報堂生活総合研究所によると、4月の「消費意欲指数」は44.8点と、過去10年間の同月で最低値に落ち込んだ。新生活や新年度が始まる4月は購買意欲が高ま​る時期だが、ファッションや外食など幅広いカテゴリーで、男⁠性を中心に消費マインドが悪化している。

自由回答欄では、「今後物価高が予想されるので、購買意欲が薄れている」(50代男性)、「年金はわずかにしか増えず節約一択」(60代女性)といった記述があった。

こうした状況下、モルガン・スタンレーMUFGの山口毅日本チーフ・エコノミストら​は「日銀は最近利上げに前向きな情報発信を強めているが、経済の下振れリスクが高いことから、4月利上げのハードルは高い」と指摘する。

国会では、参議院で2026年度の当初予算案を審議している最中だが、ある生保系エコノミストは「ロシアによるウクライナ侵攻があった22年と同様に、物価高対策として、政府は早期に補正予算を組むことになるだろう」と述べた。

(小川悠介 編集:橋本浩)

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