ニュース速報
ビジネス

石油大手株の上昇は限定的、イラン攻撃で原油高騰でも

2026年03月10日(火)10時50分

石油ポンプとイラン国旗のイメージ画像。3月2日撮影のイメージ写真。REUTERS/Dado Ruvic/Illustration

Stephanie Kelly Sheila Dang

[ロ‌ンドン/ヒューストン 9日 ロイター] - 米国とイスラエル‌による対イラン攻撃を背景に9日の原油先物価格が一時2022年​以来の高値を付けた。その一方で、石油大手のシェルやエクソンモービルなどの株価は攻撃後も限⁠定的な上昇にとどまっている。​これは影響が短期的になるとの市場関係者の見方を示唆している。

原油先物価格は2月28日のイランへの空爆開始後に4割超も上昇したが、世界のエネルギー企業の株価を追っているiシェアーズ・グローバル・エネルギー上場投資信託(ETF)の上昇率は約2%にとどまる。このことは価格上昇に⁠よる利益上昇が一時的になるか、原油の減産によって相殺される可能性を示す。

メリウス・リサーチのエネルギー・電力調査部門の責任者、ジ⁠ェームズ​・ウエスト氏は「市場はホルムズ海峡封鎖の早期終結と、それに伴う原油価格の正常水準への急落を予想している」とし、「原油価格の上昇は主に短期のスポット価格に限定されており、長期の原油先物価格には及んでいない」と指摘した。

北海ブレント先物と米WTI先物は週明けに約30%上昇。ブレント先物の直近限月契約は、6カ月先の限月契約を1バレル当たり約36ドル上回っており、需給逼迫が⁠短期にとどまることを表している。

今回の原油価格高騰は、2008年に史‌上最高値の1バレル=約147ドルを付けた局面を想起させた。当時はイランの核開発を巡る欧米諸国⁠との緊迫⁠化、米ドルの下落、インフレが価格を押し上げた。中国をはじめとする新興経済圏が持続的に成長し、先進国の原油消費が減少することによる影響を相殺すると予想された。

しかし、その史上最高値のわずか数カ月後に金融危機が発生し、原油価格は1バレル=40ドルを下回って、当時としては04年‌以来の安値となった。

シェル株は今月9日、攻撃前の2月27日の終値から最大4.9%、シェブロン​は同2.6%、エ‌クソンモービルは同0.9%それぞ⁠れ上昇した。BPは最大で7.8%上げている。

カタリスト・​エネルギー・インフラストラクチャー・ファンドのポートフォリオマネージャー、サイモン・ラック氏は、原油先物価格が現物価格ほど高くないことから投資家は供給混乱が長期化しないと予想していると説明する。

さらに、米国のシェールオイル生産企業は米国のエネルギー供給とインフラが安全で、リス‌クから隔離されていることで恩恵を受けている可能性があり、投資家がこれらの企業をより高く評価していそうだとも指摘した。

米パーミアン​盆地で最大の独立系シェールオイル生産企業⁠のダイヤモンドバックは、今月9日の株価が2月27日の終値から最大で7%上昇した。

ガベリ・ファンドのポートフォリオマネージャー、サイモン・ウォン氏は、シェールオイル生産企業のダイヤモンド​バック、APA、オクシデンタルの今年に入ってからの株価は石油大手のエクソンモービルやシェブロンに比べて上昇率が小さかったものの、現在では追い上げ始めていると指摘する。

ウォン氏も原油価格の上昇を一時的とし、供給混乱が収まれば落ち着くだろうとの見方も示した。

ロイター
Copyright (C) 2026 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

午前のドルは157円後半でもみ合い、イラン情勢の悲

ビジネス

米上院議員、中東紛争のインフレへの影響分析を労働統

ワールド

イランの新最高指導者も過激思想、標的に=イスラエル

ワールド

在韓米軍の武器移送、阻止できず 対北抑止に影響なし
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「一日中見てられる...」元プロゴルファー女性の「目のやり場に困る」密着ウェア姿がネットを席巻
  • 4
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 5
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ル…
  • 6
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 7
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    プーチンに迫る9月総選挙の暗雲
  • 10
    なぜ脳は、日本的「美」に反応する? 欧米の美とは異…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 10
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中