ニュース速報
ビジネス

米FRB当局者、追加利下げ姿勢に濃淡 ミラン氏は0.5%利下げ主張

2025年11月11日(火)12時31分

2025年8月21日、サンフランシスコ連邦準備銀行のデイリー総裁、米国ワイオミング州ジャクソンホールで開催されたカ経済シンポジウムで撮影。REUTERS/Jim Urquhart

Ann Saphir Howard Schneider

[10日 ロイター] - 米セントルイス地区連銀のムサレム総裁、サンフランシスコ地区連銀のデイリー総裁、ミラン米連邦準備理事会(FRB)理事は10日、追加利下げの必要性について異なる見解を示し、連邦公開市場委員会(FOMC)内が一枚岩でないことが改めて浮き彫りになった。

ムサレム氏(今年のFOMCで投票権あり)は、一段の緩和観測について懐疑的な姿勢を示した。インフレ率はFRBの目標である2%よりも3%に近く、株価や住宅価格などは高水準にあると指摘。金融政策は中立に近く、労働市場の減速は秩序立っているとし、「金融政策を過度に緩和的にせずに利下げを実施できる余地は限られていると考えている。極めて慎重に対応しなければならない」とブルームバーグテレビに語った。

デイリー氏(投票権なし)は、利下げにやや前向きな姿勢を示した。賃金の鈍い伸びは労働需要の低迷を示し、関税はインフレを広範かつ持続的に押し上げていないとの認識を示した。

人工知能(AI)導入による生産性向上が、物価面に影響を及ぼすことなく経済成長を加速させる可能性について警戒しているとし、「生産性の伸びが続くか見極めつつ、追加対応または高金利を長期にわたり維持する必要があると示唆する形でインフレが再び上昇する兆候を見逃さないよう細心の注意を払っている」と述べた。

「金利を必要以上に長期間にわたり据え置き、その結果として景気が損なわれるという誤りは避けなければならない」とし、「適切な政策運営には、オープンマインドを持ち、異なる意見それぞれの根拠を探る必要がある」と指摘した。

ミラン氏は、労働市場の軟化とインフレ率の低下を踏まえ、12月のFOMCで0.5%ポイントの利下げを行うべきとの考えを示した。

CNBCとのインタビューで、「9月のFOMCでは、政策担当者の中央値として25年末までに0.25%利下げ3回が適切とする見解が示されたが、それよりも段階的にハト派的になるのが妥当だと考える」と述べた。

金融市場は現在、12月の0.25%利下げの確率を約63%、据え置きの確率を約37%とみている。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

現状判断DIは前月比+2.0ポイントの49.1=1

ワールド

タイ、カンボジアとの停戦合意履行を停止へ 国防相が

ワールド

27年のCOP32開催国、エチオピアに決定へ=CO

ビジネス

米ボーイング、777X認証試験の次フェーズ開始承認
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一撃」は、キケの一言から生まれた
  • 2
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    コロンビアに出現した「謎の球体」はUFOか? 地球外…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    インスタントラーメンが脳に悪影響? 米研究が示す「…
  • 7
    中年男性と若い女性が「スタバの限定カップ」を取り…
  • 8
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 9
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 10
    「爆発の瞬間、炎の中に消えた」...UPS機墜落映像が…
  • 1
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 8
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 9
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 10
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中