ニュース速報
ビジネス

トランプ氏の仮想通貨「$トランプ」急騰、一族企業も3億ドル調達

2025年01月21日(火)10時11分

トランプ次期米大統領の就任式を控えた20日、トランプ氏が先週末に立ち上げた暗号資産(仮想通貨)「$TRUMP」がアジア時間の取引で急騰し、時価総額が90億ドルを超えた。資料写真、2020年9月撮影(2025年 ロイター/Tom Brenner)

Rae Wee Elizabeth Howcroft

[パリ/シンガポール 20日 ロイター] - トランプ米大統領一族が経営する暗号資産(仮想通貨)ビジネス、ワールド・リバティー・ファイナンシャル(WLF)は20日、トークン販売で3億ドルを調達したと発表した。同氏が先週末に立ち上げた公式暗号資産「$トランプ」も急騰し、時価総額が100億ドルを超えた。

WLFはトランプ氏と親族、同氏が中東担当特使に指名したスティーブ・ウィットコフ氏が推進し、大統領選の2カ月前に発足した。

WLFのウェブサイトによると、同社は20日に約220億トークンを販売し、当初の目標を大幅に上回った。

トランプ氏が17日夜に立ち上げたミームコイン(特定のキャラクターやジョークを主題に発行されるコイン)の$トランプは18日朝時点の10ドル未満から、20日の取引では一時74.59ドルまで上昇した。

コインマーケットキャップによると、米東部時間午後2時45分時点では42.20ドル、時価総額は約85億ドル。24時間の取引量は約400億ドルとなった。

$トランプのウェブサイトによると、トランプ氏の企業であるトランプ・オーガニゼーションの関連会社CICデジタルと、ファイト・ファイト・ファイトという別の関連企業が80%を保有している。「『$TRUMP』というシンボルが体現する理想と信念への支持と関与を表現するもの」で、投資や証券ではないとしている。

トランプ氏の妻、メラニア・トランプ氏も19日、独自の公式仮想通貨「$メラニア」を発行した。こちらも急騰し、時価総額は10億ドルを大きく超えた。

こうした中、ビットコインは欧州時間早朝の取引で過去最高値となる10万9071.86ドルを記録した。

トランプ氏は、就任後早々に仮想通貨業界向けの規制を軽減する大統領令を計画している。

<パンドラの箱>

仮想通貨のコミュニティーでもトランプ氏の仮想通貨発行は驚きをもって受け止められた。

香港を拠点とする独立系仮想通貨アナリスト、ジャスティン・ダネタン氏は「トランプ氏による単なる話題作りとして片付けたくなるが、トランプ氏の公式仮想通貨が発表されたことで、倫理や規制を巡る疑問のパンドラの箱が開いてしまった」と指摘した。

「統治、利益、影響力の境界線を曖昧にする。政治的影響力を持つ人物は、投機市場でこのような影響力を行使すべきなのか。これは規制当局が無視できない問題だ」と警告した。

仮想通貨分野の弁護士プレストン・バーン氏は19日のブログで、今後14日以内に90%の確率でトランプ氏の仮想通貨に反対する民事訴訟が提起されると予想した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 6
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 7
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 8
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中