ニュース速報
ビジネス

英CPI、4月前年比+2.3%で予想上回る 利下げ開始11月に後退

2024年05月22日(水)20時12分

 5月22日、英国立統計局(ONS)が発表した4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比2.3%と、3月の3.2%から鈍化したが、予想は上回った。写真は2021年1月、ロンドンで撮影(2024年 ロイター/Hannah McKay)

[ロンドン 22日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が22日発表した4月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比2.3%と、3月の3.2%から鈍化したが、予想は上回った。コア指数もそれほど下がらず、イングランド銀行(英中央銀行)の来月の利下げ観測が大きく後退した。

CPI伸び率は2021年7月の2.0%以来の低さだった。

中銀の予想とロイターがまとめた市場予想は2.1%だった。

中銀が注目しているサービス価格の上昇率は5.9%と、3月の6.0%から若干の低下にとどまり、中銀と市場が予想した5.5%を上回った。

根強い物価上昇圧力を反映し、コアインフレ率(エネルギー、食料品、タバコを除く)は前年比3.9%と、3月の4.2%からは低下したが、ロイターがまとめた市場予想の3.6%は上回った。

ポンドはCPI統計の発表後に上昇。市場が織り込む英中銀の6月の利下げ確率は14%と、前日の50%から大幅に低下。●最初の0.25%ポイント利下げを完全に織り込んでいるのは11月で、もはや年内2回の利下げは予想されていない。

アバディーンのシニアエコノミスト、ルーク・バーソロミュー氏は「インフレ率は引き続き急低下しているが、イングランド銀行と、6月の利下げを期待する投資家は今回の統計に失望するだろう」と指摘。

「特に、コアインフレとサービスインフレが予想よりかなり強かったことで、英中銀は、基調的なインフレ圧力が十分に冷え込んでいると自信を持つことが難しくなる」と述べた。

英国立経済社会研究所(NIESR)のエコノミスト、ポーラ・ベジャラノ・カルボ氏は「先週の強い賃金統計も踏まえ、サービスインフレの高止まりが今年後半もインフレ上振れリスクになる」と指摘。総合CPIは鈍化したが、英中銀は次回会合で慎重を期し政策金利を据え置く可能性があると述べた。

年内に実施される見込みの総選挙を前に、与党・保守党への支持拡大に奔走するスナク首相は、インフレ率低下をアピール。「今日、インフレ率が正常に戻ったことは、経済にとって大きな出来事だ」と強調した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ロシア国営宇宙企業トップ、スターリンクの対抗事業開

ワールド

EUは26年末までにロシア産原油輸入停止を、ポーラ

ワールド

米銃撃事件で警官3人死亡・2人重傷、ペンシルベニア

ビジネス

日経平均は史上最高値を更新、足元は達成感から上げ幅
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 5
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中