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インタビュー:長期的視点で積み立てNISA普及を=日証協新会長

2017年07月19日(水)09時12分

 7月18日、日本証券業協会の鈴木茂晴会長(写真)は、ロイターとのインタビューで、証券会社は長期的な視点に立って、2018年に始まる積み立てNISA(少額投資非課税制度)の普及に注力すべきだと述べた。12日(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

[東京 19日 ロイター] - 日本証券業協会の鈴木茂晴会長は、ロイターとのインタビューで、証券会社は長期的な視点に立って、2018年に始まる積み立てNISA(少額投資非課税制度)の普及に注力すべきだと述べた。

積み立てNISAを通じた投資の成功体験が重要で、利用者が増えれば自ずと制度の恒久化につながるとの見方を示した。

一方、鈴木会長は、支持率が低下している安倍晋三内閣について、再び経済対策に力を入れると予想。マーケットも好感するだろうと述べた。

鈴木氏は1日付で日証協の新会長に就任した。

主なやり取りは以下の通り。

――人口減で地方銀行界では、再編の動きがみられる。証券業界のビジネス環境をどうみるか。

「日本では個人の金融資産のうち、投資信託が5%くらいだが、米国は倍以上ある。1980年代前半には投信を個人が保有する比率はほとんど一緒だったが、米国では401k(確定拠出年金)による制度的な後押しで比率がどんどん上がった」

「安倍首相になってから確実に日経平均株価も上がっているし、日銀は『緩やかな物価上昇(スライトリーなインフレ)』を目指すと言っている。投資信託を中心として、(積み立てNISAなど)制度物の部分は、今後増えていく可能性が非常に高い。米国と同様に投信の保有比率が10数パーセントまで増える可能性があると考えれば、(個人の金融資産1800兆円の)10%近いわけだから180兆円が動くことになる」

「これだけ国内に成長余地が大きく残っているビジネスは、ないのではないか。銀行が証券ビジネスに入ってくるのは、ビジネスの部分が大きく残っていると思っているからだろう」

――報道各社の世論調査で、安倍内閣の支持率が軒並み低下している。株式市場にはリスク要因では。

「そこは心配していない。今の内閣は過去の内閣に比べてマーケットをよく見ている。彼らも、支持率の高さは景気が良い、マーケットが良いことが前提と思っている。安倍内閣がこのまま支持率を落として、どんどんだめになるとは思わない」

「(安倍内閣が)経済が基本という部分を少し失っていたとは思う。今後は経済に相当、力を入れてくると思う。原点に戻れば支持率も上がるし、マーケットも好感するのではないか」

――日証協はNISAの恒久化を要望し続けるか。

「もちろん要望しつづける」

――毎年、恒久化を要望しているが実現していない。

「もっと利用する人が増えてくれば、(恒久化)する、しない以前の議論になるだろう」

「個人の金融資産の8割以上は、50歳以上が持っている。ここで相続がぐるぐるなされて、いつもここの層がたくさん金を持っている。若い人も必ずこの層に入ってくるから、それまでに少なくとも積み立てNISAでじっくりやって、一生懸命働いている時に2万円や3万円しか払えなくても、20年間やれば損することはなかなか考えられない。ドルコスト平均法が確実に働けば、必ず利回りもいいということになると思う。そういう体験を得れば、相続で資産を持ったときに、ある程度有価証券で運用する部分も持っておいた方がいいという顧客がたくさんできる」  

「積み立てNISAは、全く証券に興味のない人に投資の有効性を知ってもらう最も重要なツールだ。利用者が非常に増えてきたら、必ず恒久化されると思う」

「(積み立てNISAによる投資額が)毎月3万円で、システム管理までやっていては割に合わないから、積み立てNISAの営業はやらないという証券会社もいる。しかし、目先の儲けを言っていたら、われわれのビジネスはこの先どうなるかわからない」

「自分のところで儲かるとか儲からないとかではなく、また、金融のことをもっと勉強してもらわなければいけないなどと言う前に、顧客に確実にうまくいったという成功体験をしてもらうことが大きいと思う」

*このインタビューは、12日に実施しました。

*写真を差し替えて再送します。

(和田崇彦、トム・ウィルソン 編集:田巻一彦)

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