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英中銀が09年以来の利下げ、国債購入枠拡大 社債も買い入れへ

2016年08月05日(金)04時26分

 8月4日、イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は政策金利を0.50%から0.25%に25ベーシスポイント(bp)引き下げるとともに、国債買い入れ枠を3750億ポンドから4350億ポンドに600億ポンド拡大し、投資適格級の社債を100億ポンド買い入れることも決めた。写真はロンドンのシティーにあるイングランド銀行(2016年 ロイター/Neil Hall)

[ロンドン 4日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行、BOE)は4日、2009年以来7年ぶりの利下げを実施し、政策金利を25ベーシスポイント(bp)引き下げ、過去最低の0.25%とした。国債買い入れ枠も拡大し、欧州連合(EU)離脱決定によって揺らいでいる安定性の回復に向け「必要とされるあらゆる行動を取る」方針を鮮明にした。

国債買い入れはこれまでの3750億ポンドから4350億ポンドに600億ポンド拡大。600億ポンドの国債買い入れを、来週8日から6カ月にわたって実施する。

買い入れは、期間が3─7年、7─15年、15年以上の3セクター均等に行う。買入入札の規模は8月─10月末の間は各セクターにつき11億7000万ポンドの予定で、市場の状況を勘案して見直す方針。買い入れ対象となる国債の範囲はこれまでと同様だが、今後見直していくとしている。

英国債に加えて、投資適格級の社債を100億ポンド買い入れることも決めた。100億ポンドの社債は18カ月かけて買い入れる。買い入れ対象となるのは、英国経済に多大な貢献をしている企業が発行する債券。また、消費者が利下げ効果を享受することを確実にするため、最大1000億ポンドの銀行向け資金供給スキーム(TFS)を導入する。

英中銀は、当局者の大半が年内に政策金利を「ゼロを若干上回る水準まで」再度引き下げる可能性を想定していることを明らかにしたほか、来年の英経済成長見通しを大幅に下方修正した。

カーニー英中銀総裁は記者会見で「金融政策委は早期かつ包括的な行動を取ることで、不透明性を低減させると同時に信認を下支えし、英経済に必要な調整を支援することができる」と発言。

EU離脱決定(ブレグジット)を受けて、経済見通しが著しく悪化したため、「異例の」包括的刺激策を打ち出したとし、「英国が新たな現実に適応し、EU域外で新たな好機獲得に向けて前進していくため、英中銀は金融安定目標の達成に必要なあらゆる行動を取る用意が整っている」と言明した。

英中銀の決定を受け、ポンド/ドルは1.6%下落し、英国債利回りは過去最低を更新。英主要株価指数は1.6%上昇した。

カーニー総裁は、追加利下げや量的緩和(QE)拡大など、一段の刺激策を実施する余地は残されているとしつつも、マイナス金利を導入する意図はないと言明。さらに「ヘリコプターマネー」の選択肢にも賛同しない考えも鮮明にした。

市中銀行に対しては、利下げ効果を消費者にもたらさないことに対し「言い訳はできない」と釘を刺した。

今回の利下げとTFSは全会一致で決定。一方、国債買い入れ枠拡大の決定をめぐっては、フォーブス、マカファーティー、ウィールの3委員が反対を主張。フォーブス委員は社債の買い入れについても反対を表明した。

HSBCのエコノミスト、シモン・ウエルズ氏は、英中銀が予想以上の大規模な刺激策を打ち出したとしつつも、「これらすべて措置が実体経済に大きな効果をもたらすかは疑問だ。利回りはすでにかなりの低水準にあり、不透明感が成長への最大の障害と言える」と語った。

2016年の英経済成長率見通しは2.0%に据え置き。年末まで低調な成長となることが見込まれるものの、上期の成長が5月に見込んでいた以上に好調となったことが支えとなるもよう。

2017年については0.8%の小幅な成長にとどまるとし、従来見通しの2.3%から大幅に下方修正した。18年見通しも1.8%に引き下げた。

さらに、ポンド急落を踏まえ、インフレ見通しを大幅に修正し、2018、19年のインフレ率が2.4%に上昇するとの予想を示した。短期的に目標の2%に向けて低下させることに伴うコストが効果を上回ると指摘した。

ハモンド英財務相は「英国で新たな章が始まり今後の課題に取り組み中、(カーニー総裁は)経済支援に必要な手段を有している」とし、英中銀の利下げ決定を評価した。

*内容を追加しました。

ロイター
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