最新記事
社会保障

すべての国民に最低所得保障「ベーシックインカム」の時代が来る?――世界各地で実験中

Countries Testing a Universal Basic Income in 2025

2025年7月28日(月)20時36分
ヒュー・キャメロン
サム・アルトマン

オープンAIのサム・アルトマンCEOもベーシックインカムの社会実験を行なっている REUTERS/Ken Cedeno

<政府が最低限必要な金額をすべての国民に支給するユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)。革命的過ぎて本格導入した国はまだないが、AIの進化で大量失業も予告されるなか、世界各国で実証実験が進行している>

世界的に富の格差が拡大し、AIなどによる自動化が新たな失業をもたらしつつある今、裕福な先進国から発展途上国まで、国民に無条件の最低収入を提供しようとする国が出てきている。

【動画】アルトマンが行ったベーシックインカムの実験結果は?

全国民共通のユニバーサル・ベーシックインカム(UBI)を完全に実施している国はまだないが、一部の国では、その国に特有の問題や多くの国民に共通する問題への対策として、UBIに似ているが対象を絞った制度「ギャランティード・ベーシックインカム(GBI)」などの実験を続けている。

金額、受給者、目的は様々だが、こうした実験を行うことで、ベーシックインカム制度への抵抗を和らげ、その財政的意義も明確化して、国民すべてに最低所得を保障するという急進的な経済政策を受け入れる社会的な素地を作る狙いもある。

本誌の取材に応じた専門家によると、ベーシックインカム制度は、貧困を緩和し、それぞれの国や地域の福祉制度で十分なサービスを受けていない人々に経済的安定をもたらすだけでなく、市民が労働以外の優先事項に時間を割くことを可能にするという。

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

香港トップが習主席と会談、民主派メディア創業者の判

ワールド

今年のシンガポール成長予想、4.1%に上方修正=中

ビジネス

対米巨額投資、日本の事業会社にリスク 収益性押し下

ワールド

USAID解体は「驚愕」、首席補佐官が米誌インタビ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 7
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 7
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中