最新記事
ウクライナ戦争

ロシア、ウクライナに大規模攻撃 隣国ポーランドに無人機侵入か

2024年8月27日(火)09時47分
クラマトルスクで25日に爆撃を受け破壊されたホテル

ウクライナ軍によると、ロシア軍は26日午前にウクライナ全土を標的にミサイル数発とドローン(無人機)数十機を発射させた。全土で空襲警報が出された。写真はクラマトルスクで25日に爆撃を受け破壊されたホテル(2024年 ロイター/Vitalii Hnidyi)

ロシアは26日朝、ウクライナ全土に向けて100発以上のミサイルと攻撃用ドローン(無人機)約100機を発射、ウクライナ当局によると少なくとも5人が死亡、エネルギー施設に被害がでた。

北大西洋条約機構(NATO)でウクライナと国境を接するポーランドは、攻撃が行われていた時間帯にドローンが自国の領空に侵入した可能性があると明らかにした。

ウクライナの少なくとも10地域で電力などの重要インフラを標的となり、首都キーウ(キエフ)の一部を含む各地で停電や断水に見舞われた。ウクライナがロシア西部クルスク州に対する越境攻撃を続ける中、ここ数週間で最も激しい攻撃という。

ゼレンスキー大統領は「大規模な複合攻撃だ。100発以上の様々な種類のミサイルと約100機のドローン『シャヘド』が使用され、重要な民間インフラが狙われた」とし、エネルギー部門が大きな被害を受けたと述べた。シュミハリ首相によると、被害は15の地域に及んだ。

ウクライナ高官はロシアへの長距離攻撃を認めるよう求めている。

インタファクス通信によると、ロシア国防省は26日、ウクライナの重要エネルギーインフラを攻撃するため高精度兵器を使用したと明らかにした。

キーウではラッシュアワーの時間帯に爆発音が鳴り響き、空軍によると、ロシアの戦略爆撃機「TU─95」11機が上空を飛行。複数のミサイルが発射された。キーウ郊外では防空部隊が目標を攻撃する音が聞かれた。

キーウの軍当局者によると、首都を狙ったミサイル約15発とドローン約20機が撃墜された。

キーウの米国大使館は先週、24日のウクライナの独立記念日前後に、ロシアがウクライナ全土をミサイルや無人機で攻撃する危険性が高まっていると警告していた。

<ポーランド領空にドローン侵入の可能性>

ロシア軍はウクライナ西部やポーランドとの国境付近も標的にした。ポーランド軍の作戦司令部によると、ロシアの攻撃を受けてポーランドと同盟国の航空機が警戒態勢を敷いていた。

ポーランドは、ロシアによる攻撃が行われていた際、ドローンがポーランドの領空に侵入した可能性があると表明。何らかの「物体」がポーランド領内に着陸した可能性があるとし、現在捜索活動が行われているとした。

ポーランド軍作戦司令部の報道官はロイターに対し、飛行軌道と速度を踏まえると、この物体はミサイルではなくドローンだった可能性が高いと述べた。ただ、気象状況により目視できなかったため、この物体がロシアのものか、ウクライナのものかは現時点で確認できていないという。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 教養としてのBL入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月23日号(12月16日発売)は「教養としてのBL入門」特集。実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気の歴史と背景をひもとく/日米「男同士の愛」比較/権力と戦う中華BL/まずは入門10作品

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米総合PMI、12月は半年ぶりの低水準 新規受注が

ワールド

バンス副大統領、激戦州で政策アピール 中間選挙控え

ワールド

欧州評議会、ウクライナ損害賠償へ新組織 創設案に3

ビジネス

米雇用、11月予想上回る+6.4万人 失業率は4年
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 8
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「日本中が人手不足」のウソ...産業界が人口減少を乗…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中