最新記事
サメ

サメの襲撃から生還した少女にちなんで名付けられた「ルル法案」が米議会に提出

2024年8月9日(金)19時35分
マルニ・ローズ・マクフォール
サメの襲撃から生還したアラバマ州の少女にちなんで名付けられた「ルル法案」が提出

Jane Karelas -shutterstock-

<サメの襲撃を海水浴客に知らせることを目指す新たな法案が提出された。襲撃を受けた少女の両親は法案可決の重要性を訴える>

米アラバマ州選出のケイティ・ブリット上院議員は、サメの襲撃を海水浴客に知らせることを目指す新たな法案を提出した。子供の誘拐事件などを伝えるアンバーアラートや異常気象警報と同じ仕組みという。

法案は、6月にサメの襲撃から生還したアラバマ州のルル・グリビン(15)にちなんで名付けられた。

共和党のブリットは2023年1月にアラバマ州の上院議員に選出され、同党の女性上院議員としては最年少だ。

2022年の上院議員選挙で、ドナルド・トランプ前大統領の支持を受けて勝利した。今年3月には、ジョー・バイデン大統領の一般教書演説に対する反論演説を行ったが、不評を買った。

アラバマ州マウンテンブルックに住むルルは、フロリダ州のメキシコ湾岸でサメに襲われ、腕と脚の一部を失った。彼女の友人も負傷した。

【動画】米フロリダ州で「サメの襲撃が相次ぎ」15歳少女ら3名が海水浴中に手足を失う重症

この事故が発生する1時間半前に、付近で別のサメに人が襲われる事故が起きており、ルルの両親は、警告システムがあれば2度目の襲撃は防げたと考えている。

フロリダ自然史博物館が運営するデータベース「インターナショナル・シャーク・アタック・ファイル」によれば、2023年には世界でサメと人との接触が120件発生したとされる。

また、同年に人がサメに噛まれた件数は平均を上回っており、そのうち2件の死亡事故を含む36件が米国内で発生した。

「サメ警報」で子供の安全を守る

ブレットが発表した声明によると、「ルル法」と名付けられたこの法案は、連邦緊急事態管理庁(FEMA)が管理するワイヤレス緊急速報(WEA)の既存の枠組みにサメの襲撃を組み込むことを目的としている。

同システムは現在、悪天候やアンバーアラートなどの緊急事態に対して警報を発している。提出された法案では、サメの襲撃も対象に含めることで、州や連邦などの各当局が即座に警告を発することができるようになる。

ルルの両親のアン・ブレアとジョー・グリビンは、「ルルが6月7日のサメの襲撃から生還したことを心から感謝している。ルルはファイターだ。私たちはこれを乗り越え、彼女は新しいライフスタイルに適応していくだろう」と声明で述べた。

「あれはその日2度目の襲撃で、より良い警報システムがあれば防げたかもしれない。ルル法が重要なのはそのためだ。この法案を提出してくれたブリット上院議員に感謝するとともに、子供たちの安全を守りたい私たちのような家族のために、議会はこの法案を可決してほしい」と両親は訴えた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、エプスタイン文書の公開支持 共和党議員

ビジネス

高級ブランドのリシュモン、7―9月期は14%増収

ワールド

中国輸出規制でイットリウムが不足、新たなレアアース

ビジネス

米共和党州司法長官、ユニオン・パシフィックのノーフ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生まれた「全く異なる」2つの投資機会とは?
  • 3
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃度を増やす「6つのルール」とは?
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 6
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    レアアースを武器にした中国...実は米国への依存度が…
  • 9
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 10
    反ワクチンのカリスマを追放し、豊田真由子を抜擢...…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中