最新記事
欧州

アルメニア、ナガルノカラバフめぐるロシアの調停案受け入れ アゼルバイジャンも戦闘停止、死者200人

2023年9月21日(木)10時22分
ロイター
軍事衝突で被害を受けた住宅

アゼルバイジャン領ナゴルノカラバフで起きた軍事衝突を巡り、アルメニア系勢力は20日、ロシアの停戦案を受け入れた。衝突で被害を受けた住宅、ステパナケルトで19日撮影。(2023年 ロイター/PAN Photo)

アゼルバイジャン領ナゴルノカラバフで起きた軍事衝突を巡り、アルメニア系勢力は20日、ロシアの停戦案を受け入れた。停戦合意は現地時間20日午後1時(0900GMT、日本時間午後6時)に発効。これを受け、アゼルバイジャンは軍事活動を停止した。

停戦合意はアゼルバイジャンと現地に平和維持軍を派遣しているロシア国防省がまとめた。同地域は完全にアゼルバイジャンの支配するところとなり、アルメニア系分離主義勢力は解散し武装解除されることとなる。

アルメニア系当局者によると、この軍事作戦による死者は少なくとも200人、負傷者は400人に上る。死者のうち10人は子ども含む民間人だという。ロイターはこの情報を確認できていない。

アゼルバイジャンのアリエフ大統領は20日夜、国民に向けた演説で、「鉄拳」により短期間に主権を回復したと述べた。アルメニア系分離主義勢力は武装解除し撤退を開始したという。その上で「カラバフを楽園にする」と表明した。

ナゴルノカラバフのアルメニア系分離主義勢力によると、アゼルバイジャン軍は防衛線を突破し、多くの高地と戦略的に重要な道路の合流地点を占領。戦闘を停止する以外に選択の余地はなかったという。

トルコの支援を受けたアゼルバイジャンの軍事力は分離主義勢力をはるかに凌駕した。ただ、アゼルバイジャンの勝利は隣国アルメニアの政治的混乱につながる可能性がある。

アルメニア国内では、ナゴルノカラバフのアルメニア系住民を保護できなかったことへの批判が高まり、パシニャン首相に対し一部から辞任を求める声が上がっている。また、平和維持軍を駐留させているロシアがアゼルバイジャンを阻止できなかったことに憤る声もある。

ロシア大統領府はこの批判を退けた。プーチン大統領はロシアの平和維持軍には銃撃による死者も出たが、ナゴルノカラバフの民間人を保護すると述べたという。さらに、プーチン氏がパシニャン首相と電話会談を行ったことを明らかにし、「紛争を早期に克服できたことに満足している。完全な敵対行為の停止と9月21日の交渉の開催に関する合意を歓迎する」とした。

しかし、アルメニア系住民の多くはアゼルバイジャンに深い不信感を抱いている。

停戦合意後、ナゴルノカラバフのアルメニア系住民数千人が避難のためロシア平和維持軍が駐留する空港に詰めかけた。同地の写真には、空港にいる多くの人々が写っている。中には幼い子どもを連れた人もいるという。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン戦争は2週目に、トランプ氏「無条件降伏」求め

ビジネス

アングル:欧州で若者向け住宅購入の新ビジネス、価格

ワールド

焦点:道半ばの中国「社会保険改革」、企業にも個人に

ワールド

昨年の関税合意実施を米と確認、日本が不利にならない
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗雲...専門家「イランの反撃はこれから」「報道と実態にズレ」
  • 2
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示さない
  • 3
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だったはずの中国が、不気味なまでに静かな理由
  • 4
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    「みんな一斉に手を挙げて...」中国の航空会社のフラ…
  • 7
    10歳少女がライオンに激しく襲われる...中国の動物園…
  • 8
    【WBC】侍ジャパン、大谷翔平人気が引き起こした球場…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 6
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 7
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 8
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 9
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中