最新記事
世界のニュース50

日本も参考にできる!? コンドーム禁止から大学入試改革まで、中国「少子化対策」の仰天アイデア

2023年5月1日(月)20時40分
高口康太(ジャーナリスト)
一人っ子政策

一人っ子政策は終わり、3人目解禁となったが「一人っ子実態」のまま KIM KYUNG HOONーREUTERS

<一人っ子政策は終わり、既に3人目出産も解禁されているが、合計特殊出生率は日本以下。そんな国で飛び出した政策提案とは>

中国の少子化が止まらない。昨年の出生数は956万人と建国以来初となる1000万台割れ。5年前から約800万人減と急落している。

中国共産党は2021年、3人目出産を完全解禁する歴史的転換に踏み切った。出産への一時金支給、シングルマザーの待遇改善など出産奨励策が導入されつつある。

とはいえ、中国の合計特殊出生率は既に1.1~1.2(昨年推計)と日本以下だ。生半可な対策では状況は変わらない。

そこで取り沙汰されるのが、産めよ増やせよ的珍アイデアだ。

人口学者としても著名な、大手旅行予約サイト・トリップドットコム創業者の梁建章(リアン・コンチャン=ジェームズ・リャン)は義務教育を9年から7年に短縮する策を提唱した。早く社会に出れば、その分早く結婚するはずで、若く結婚すればするほど子供が増えるはずという理屈だ。学力低下が気になるところだが、「中国人の学力は世界トップだから問題なし」と懸念を一蹴する。

もっとストレートな提案が避妊禁止である。香港の不動産企業・中原集団の施永青(シー・ヨンチン)主席は「出生の責任を果たすまで、例えば2人の子供をつくるまではコンドームを買えないという規制を検討せよ」と主張した。

【動画】大学キャンパスに設置され、物議をかもしたコンドーム自動販売機

一人っ子政策下の中国では大学キャンパスにコンドーム自動販売機を設置し、ホテルの部屋には必ずコンドームを用意と避妊全力推進モードだったのを、許可証がないとコンドームが買えない真逆の世界にしようとしている。もし実現すれば、コンドームのブラックマーケットができることは間違いなさそうだ。

一番、中国人をびびらせている提案が「2人目以降の子供は大学入試で加点」だ。中国人民大学の金燦栄(チン・ツアンロン)教授は「2人目にプラス20点、3人目に50点、4人目は無試験で名門大学に合格でどうだ!」と発言。無試験合格はさすがに過激だが、2人目、3人目の入試加点は複数の論者から提案されている。

子供の教育は中国人にとって最大の関心事の1つ。万が一、この政策が導入されれば出産爆増は間違いないというわけ。

果たして、習近平(シー・チンピン)国家主席はどのような革命的対策をひねり出すのか、要注目だ。

ヘルスケア
腸内環境の解析技術「PMAS」で、「健康寿命の延伸」につなげる...日韓タッグで健康づくりに革命を
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=S&P小幅安、FOMC結果待ち

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、雇用市場に依然底堅さ

ビジネス

米NEC委員長「利下げの余地十分」、FRBの政治介

ワールド

ウクライナ、和平計画の「修正版」を近く米国に提示へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキング」でトップ5に入ったのはどこ?
  • 3
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「財政危機」招くおそれ
  • 4
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 5
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「1匹いたら数千匹近くに...」飲もうとしたコップの…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    ゼレンスキー機の直後に「軍用ドローン4機」...ダブ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中