最新記事
米軍事

米、軍事機密文書の流出元の特定急ぐ ロシアが関与か、米国人との見方も

2023年4月10日(月)10時38分
ロイター
米国防総省

ウクライナの防空体制やイスラエルの情報機関「モサド」に関する重要情報など、米国の軍事・情報機関の機密文書がインターネット上に公開された問題で、米政府の当局者らは流出元の特定を急いでおり、専門家や米当局者の間には米国人が関与したとの見方がある。写真は米国防総省。2010年撮影(2023年 ロイター/Jason Reed)

ウクライナの防空体制やイスラエルの情報機関「モサド」に関する重要情報など、米国の軍事・情報機関の機密文書がインターネット上に公開された問題で、米政府の当局者らは流出元の特定を急いでおり、専門家や米当局者の間には米国人が関与したとの見方がある。

当局者らによると、漏えいした文書がウクライナでの戦争や中国、中東、アフリカなど幅広い内容を網羅していることが、同盟国ではなく米国の人物がリークした可能性を示唆しているという。

元米国防総省高官のマイケル・マルロイ氏はロイターに対し「文書の多くは米国のみが管理していたため、焦点は米国によるリークかどうか」と語った。

ただ、当局者らによると、調査は初期段階にあり、親ロシア派が関与した可能性も排除していないという。

文書漏えいが判明して以来、ロイターは「ディスコード」、「4チャン」をはじめとするソーシャルメディアで先月以来公開された「機密」あるいは「極秘」と記された50件以上の文書を精査した。文書の一部は何週間も前に投稿されていたが、その存在は7日に米紙ニューヨーク・タイムズが初めて報じた。

米国防総省は9日の声明で、写真データとして公開された「機密や極秘の内容を含んでいると見受けられる」文書の真偽を検証していると説明。同省の付託で司法省が刑事捜査を開始したという。

ウクライナの「S300」地対空ミサイルの在庫が現在の使用率では5月2日までに枯渇するとする2月23日付の文書や、イスラエルのモサドが司法制度改革への抗議を促しているとする3月1日付の米中央情報局(CIA)からの報告が含まれている。

CIAの報告は、米政府が電波信号の傍受による情報活動でモサドに関する情報を得たとしており、米国が中東の最も重要な同盟国の一つであるイスラエルに対する情報活動を行っていたことを示唆している。

イスラエル首相府は9日、文書の主張内容は間違いで、何の根拠もないと一蹴した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2023トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ビジネス
暮らしの安全・安心は、事件になる前に守る時代へ。...JCBと連携し、新たな防犯インフラを築く「ヴァンガードスミス」の挑戦。
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ECBが金利据え置き、3会合連続 今後の金利動向示

ビジネス

日銀の利上げ見送り、極めてリーズナブルな判断=片山

ビジネス

日産の今期2750億円の営業赤字に、米関税が負担 

ビジネス

米財務長官、年内再利下げに疑問示したFRBを批判 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面に ロシア軍が8倍の主力部隊を投入
  • 4
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 5
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 6
    コレがなければ「進次郎が首相」?...高市早苗を総理…
  • 7
    【クイズ】開館が近づく「大エジプト博物館」...総工…
  • 8
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 4
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 7
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 8
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 9
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 10
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中