最新記事

ロシア軍

窃盗が横行、半数が病気... 動員されたロシア兵が撮ったキャンプ内部の悲惨な実情

2022年10月17日(月)21時40分
川口陽
動員されたロシア人男性

プーチン大統領の発令した「部分的動員令」により戦地に派遣される男性(10月7日、ロシア・オムスク) Alexey Malgavko-REUTERS

<テントには「役に立たない」ストーブが一つだけ。目を離せばそれさえ盗まれるとおびえる兵士>

あるロシア兵が撮影したキャンプ内部の悲惨な様子がソーシャルメディア上で話題となっている。ロシアメディアを監視する団体「ロシアン・メディア・モニター」の創設者で、米誌デイリー・ビーストのコラムニストであるジュリア・デイビスがツイッター上でこの映像を紹介した。

最近ロシア軍に動員されたとみられる匿名の男は歩きながら、彼らがいかに劣悪な環境に置かれているかを淡々と説明する。動画に映っている兵士は全員ハンティ・マンシースクの出身だという。ハンティ・マンシースクは、ロシア中西部の都市でハンティ・マンシ自治管区の行政の中心地だ。

このキャンプでは窃盗が横行し、病気も流行っているという。動画の冒頭、兵士は「テニスシューズも軍靴も持っていない」と語る。数人が寝床にしているテントには暖を取るためのストーブが一つしかなく、それも「何の役にも立たなかった」と言う。

「私の声はしゃがれてひどいし、兵士の半分は風邪をひいてしまった」

テントからはさらにマットレスまで盗まれたが、(窃盗は)生き残るための唯一の方法だから仕方ないと力なくつぶやく。テントから離れるとストーブも盗られかねないと警戒する。

このようにキャンプ内では盗難が絶えないにもかかわらず、上役にはまるで力になる様子がない。

「副官には『私はお前のママかパパか? 自分で見つけろ』と言われた」

【映像】ロシア軍キャンプの絶望的な様相

ニューズウィーク日本版 非婚化する世界
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月17日号(6月10日発売)は「非婚化する世界」特集。非婚化と少子化の波がアメリカやヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イランガス田にも攻撃 応酬続く 米・イ

ワールド

米首都で34年ぶり軍事パレード、トランプ氏誕生日 

ワールド

米ミネソタで州議員が銃撃受け死亡、容疑者逃走中 知

ワールド

再送-米ロ首脳、イスラエル・イラン情勢で電話会談 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 2
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 3
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生きる力」が生んだ「現代医学の奇跡」とは?
  • 4
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 5
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 6
    構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガ…
  • 7
    逃げて!背後に写り込む「捕食者の目」...可愛いウサ…
  • 8
    「結婚は人生の終着点」...欧米にも広がる非婚化の波…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    メーガン妃の「下品なダンス」炎上で「王室イメージ…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
  • 7
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 8
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 9
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中