最新記事

日中関係

日本を中国従属へと導く自公連立――中国は「公明党は最も親中で日本共産党は反中」と位置付け

2021年10月28日(木)11時08分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

日本を中国従属に導く自公連立 Issei Kato/REUTERS

中国は日本の公明党以上に親中の政党は世界にいないとみなし、日本共産党は反中の敵対勢力と見ている。次に親中なのは自民党なので、自公連立ほど中国にとってありがたい存在はない。思うままに動かせる。

中国政府高官「自公は親中なので・・・」

あれは確か、2012年9月に自民党総裁選があったときのことだったと思う。

私はテレビの番組に呼ばれて、総裁選立候補者と対談をしたことがある。

そこには「安倍晋三、石破茂、林芳正、石原伸晃」の4氏が並んでいた。町村信孝氏も立候補していたのだが、途中で体調を崩して出席していなかった。

ちょうど自民党が野党に下り、民主党政権と競り合って政権交代を目指していた時期でもあったことから、私は番組で「中国では自民党じゃなくては、という意見が多いですよ」と言った。

すると安倍氏が勢いよく「ほんとですか!」と前のめりになり、4人とも「いいですねぇー!」と声を揃えた。

サービスで言ったわけではなく、尖閣諸島国有化問題により中国全土でデモが起き、中国は民主党政権を「反中」として激しく罵っていた時期でもあったからだ。

私は当時、連日のようにテレビに出ていたので、責任あるメッセージを発していかなければならないと思い、中国政府の考え方を正確に知るべく、中国政府元高官を取材したばかりだった。

元高官は「いやー、民主党はだめですよ。あれは反中だ。やっぱり自民党でなきゃね。というより、何と言っても自民党は公明党と連立を組んでるので、そりゃあ、親中に傾くに決まっている。公明党ほど親中の政党は世界でも珍しいほどですからねぇ」と回答したのだった。

元高官は「自公は親中なので・・・」と言ったのではあるが、何と言っても目の前に並んでいる4人は「自民党」の総裁選立候補者なので、「自公」ではなく「自民党」と言ったのは、サービス精神というより、「自民党総裁選立候補者」だったからだ。

中国共産党機関紙「人民日報」も公明党を「親中」と絶賛

事実、中国共産党の機関紙である「人民日報」にも、いかに公明党が親中であるか、いかに日本政府を親中に導いているかに関する論考が載っている

この論考は、中国政府のシンクタンクである中国社会科学院の日本学研究所が発行している『日本学刊』という学術誌(2017年第二期)に寄稿されたもので、作者は日本の創価大学教授で中国の復旦大学日本研究センター研究員でもある汪鴻祥氏だ。

私は2004年まで同じく中国社会科学院社会学研究所の客員教授を務めていたが、日本学研究所は、まるで創価学会の巣窟かと思われるほど、創価学会関係者が多く、中国における宗教は弾圧しているのに、日本の宗教は「公明党」に限り絶賛していたことに、非常な違和感を覚えた経験がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ブラジルのコーヒー豆輸出、10月は前年比20.4%

ビジネス

リーガルテック投資に新たな波、AIブームで資金調達

ワールド

ナイジェリアでジェノサイド「起きていない」、アフリ

ワールド

世界で新たに数百万人が食糧危機に直面、国連機関が支
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編をディズニーが中止に、5000人超の「怒りの署名活動」に発展
  • 4
    炎天下や寒空の下で何時間も立ちっぱなし......労働…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 7
    ついに開館した「大エジプト博物館」の展示内容とは…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    冬ごもりを忘れたクマが来る――「穴持たず」が引き起…
  • 10
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中