最新記事

感染症対策

アストラゼネカ製ワクチン、米治験データは不完全な可能性=米感染研

2021年3月24日(水)08時34分

米国立アレルギー感染症研究所は23日、英アストラゼネカが米国で行った新型コロナウイルスワクチンの大規模臨床試験(治験)で「不完全な」有効性データを提供した可能性があるとの見解を示した。写真は同社の北米本部、22日撮影(2021年 ロイター/Rachel Wisniewski)

米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)は23日、英アストラゼネカが米国で行った新型コロナウイルスワクチンの大規模臨床試験(治験)で「不完全な」有効性データを提供した可能性があるとの見解を示した。これを受け、アストラゼネカは48時間以内に最新のデータを発表すると表明した。

アストラゼネカは22日、英オックスフォード大学と開発したコロナワクチンについて、米国とチリ、ペルーで行われた大規模治験で79%の予防効果が示されたほか、血栓リスクの増加は見られなかったと発表した。

NIAIDによると、独立組織のデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)は「アストラゼネカが治験の古い情報を盛り込んだ可能性があり、有効性データの不完全な概観を提供したかもしれないとの懸念を表明した」という。

その上で同社に対し、DSMBと協力して「有効性データを見直し、最も正確で最新の有効性データを可能な限り早く公表」するために取り組むよう求めた。

同社は数週間内に米当局にワクチンの緊急使用許可を申請する計画だが、今回の米側の要請によって不透明感が強まった。

アストラゼネカは「昨日公表したデータは2月17日までに得られたデータの中間分析に基づいたものだった」と説明。直ちにDSMBと取り組みを進め、48時間以内に有効性を巡る最新のデータを公表するとした。

NIAIDのファウチ所長は、アストラゼネカのワクチンについて「極めて有効なワクチンだというのが事実だ」とした上で、「データは実際は良好だが、報道発表に含まれたものは完全に正確ではなかった」と述べた。

*情報を追加します。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ軍撤退なければ、ドンバス地方を武力で完全

ビジネス

アングル:長期金利2.0%が視野、ターミナルレート

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ワールド

ADBと世銀、新協調融資モデルで太平洋諸島プロジェ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 3
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中