最新記事

アメリカ政治

トランプにうんざりの共和党員が大量離党 右傾化に拍車か

2021年2月23日(火)09時59分

弱まる都市部の支持

フロリダ大学の政治学研究者マイケル・マクドナルド氏によると、共和党内でトランプ氏に批判的な少数グループ、つまり弾劾決議案に賛成した下院議員10人や弾劾裁判で有罪票を投じた上院議員7人などにとっては、穏健派党員が減少すると予備選で対抗馬を退けるのがより困難になるのではないかという。

大量離党は、比較的裕福な人が住む地域で共和党支持が減退していることとも関係している。例えば都市近郊部などだ。そうした地域は昨年11月の大統領選挙でバイデン氏勝利を後押しした。

ペンシルベニアでは年明けから今月16日までに共和党を離党した1万9000人近くの半分以上が都市部や、主要都市部周辺の近郊で暮らす人々だった。一方、共和党にとどまっている人のうち、こうした地域に住む人の割合は4割程度にとどまる。フロリダとノースカロライナでも、離党者は大都市周辺に集中していた。

専門家は、大統領選後の数カ月でこれほどの規模で有権者の支持政党が変わるのは異例だとし、流出がさらに続くのか、逆に流入するようになるのかは見極める必要があると話す。一部の離党者が戻ってくる可能性もあるという。

一方で、金融会社重役でフィラデルフィア郊外のラファイエットヒル在住のロバート・アベルマン氏(56)は、大統領選ではバイデン氏に投票した。トランプ氏がまだ共和党を牛耳る状況に嫌気が差し、今月に離党し、支持政党はなしとして、つまり無党派層として有権者登録をし直した。アベルマン氏はいくつかの新党構想に関心を持っている。その中には共和党の幹部数十人が立ち上げを検討した中道右派政党のような構想も含まれている。

(Jason Lange記者、Andy Sullivan記者)



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

独製造業PMI、10月改定49.6 生産減速

ワールド

高市首相との会談「普通のこと」、台湾代表 中国批判

ワールド

米韓制服組トップ、地域安保「複雑で不安定」 米長官

ワールド

マレーシア首相、1.42億ドルの磁石工場でレアアー
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「今年注目の旅行先」、1位は米ビッグスカイ
  • 3
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った「意外な姿」に大きな注目、なぜこんな格好を?
  • 4
    米沿岸に頻出する「海中UFO」──物理法則で説明がつか…
  • 5
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 6
    筋肉はなぜ「伸ばしながら鍛える」のか?...「関節ト…
  • 7
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 10
    「あなたが着ている制服を...」 乗客が客室乗務員に…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 8
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 9
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 10
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中