最新記事

アメリカ外交

米政府、対トルコ制裁発動へ ロシア製ミサイル購入への対抗措置

2020年12月11日(金)10時59分

米国は、ロシア製地対空ミサイル「S400」の購入を巡り、トルコに制裁を科す見通しだ。写真はアゼルバイジャンの首都バクーで軍事パレードを視察するトルコのエルドアン大統領。今年12月10日撮影。(2020年 ロイター/提供写真)

米国は、ロシア製地対空ミサイル「S400」の購入を巡り、トルコに制裁を科す見通しだ。米政府当局者を含む複数の関係筋が10日、ロイターに明らかにした。すでに問題を抱える両国の関係がさらに悪化するとみられる。

制裁は近く発表される可能性があり、トルコ国防産業当局の責任者イスマイル・デミル氏が対象になる見通し。一部のアナリストが想定している厳しいシナリオほどの影響はないとみられるものの、トルコに打撃を与えることになる。

これを受け、トルコリラは一時1.4%下落した。

トルコ政府高官は、二国間の関係悪化につながると指摘。「制裁は非生産的で、関係を阻害する。トルコは外交や交渉を通じた問題解決を望む。一方的な制裁は受け入れない」と述べた。

トルコのエルドアン大統領と協力的な関係を築いてきたトランプ米大統領は、アドバイザーらの助言にもかかわらず、トルコへの制裁に反対してきた。

しかし関係筋によると、トランプ氏が行動を取らないとしても、制裁は発動される見通しという。

米上院が週内にも採決を実施する見込みである年間7400億ドル規模の国防権限法案の最終版で、トルコへの制裁を30日以内に科すことが義務付けられているからだ。

関係筋によると、制裁の発表は11日になるとみられるが、早ければ10日にも行われる可能性がある。

トルコは昨年、ロシアからS400を購入。北大西洋条約機構(NATO)の防衛システムに統合することはなく、脅威にならないとしているが、米国はこれを脅威と受け止め、米ロッキード・マーティンが中心となって開発する最新鋭ステルス戦闘機「F35」の共同製造プログラムからトルコを除外した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・アメリカ大統領選挙、敗残のトランプを待ち構える訴訟の山 検察による刑事捜査も
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力


ニューズウィーク日本版 岐路に立つアメリカ経済
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年6月3日号(5月27日発売)は「岐路に立つアメリカ経済」特集。関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

関税の即刻見直しかなわないなら、合意は困難=日米交

ワールド

トランプ氏、中国の関税合意違反を非難 厳しい措置示

ワールド

中国、ブラジル産鶏肉の輸入全面禁止 鳥インフル発生

ビジネス

マクロ系ヘッジファンドへの関心高まる、市場の変動に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中