最新記事

2020米大統領選

トランプ、大統領選挙結果覆すための戦略変更へ 法廷闘争の不発で

2020年11月20日(金)13時31分

トランプ米大統領の選対陣営は、法廷闘争で大統領選の結果を覆すシナリオが崩れつつある中、バイデン氏が勝利した激戦州の州議会共和党議員に介入を促し、有利な状況に持ち込む戦略にシフトしている。8月撮影(2020年 ロイター/Sarah Silbiger)

トランプ米大統領の選対陣営は、法廷闘争で大統領選の結果を覆すシナリオが崩れつつある中、バイデン氏が勝利した激戦州の州議会共和党議員に介入を促し、有利な状況に持ち込む戦略にシフトしている。

戦略の変更については、事情に詳しい3人の関係者が確認した。接戦のジョージア州では手作業による再集計が完了し、バイデン氏の同州での勝利は変わらなかった。また、トランプ陣営は、ミシガン州でのバイデン氏の勝利認定に異議を申し立てる訴訟を撤回した。

バイデン氏は全米で選挙人306人を獲得、勝利に必要な270人を大幅に上回った。トランプ氏は232人にとどまった。

トランプ陣営は3日の大統領選以降、選挙結果に異議を申し立てる訴訟を少なくとも9件提起しているが、不発が続いている。アリゾナ、ジョージア、ペンシルベニアの裁判所はそれぞれ、開票作業に問題があったとのトランプ氏側の訴えを退けた。

トランプ陣営の高官はロイターに対し、激戦州の結果について不正を強く主張することで州議会の共和党議員に介入する気を起こさせ、州議会で選挙人を指名させるというのが今の戦略だと説明。

トランプ陣営は既に、バイデン氏が勝利したペンシルベニア州の連邦地裁に対し、結果には不正があり、共和党が多数派を占める州議会が同州の20人の選挙人を直接指名する必要があるとの判断を出すよう求めている。

各州で選出された選挙人は12月14日、正式な投票を行う。バイデン氏は選挙人団の投票で勝つと、合衆国憲法が定める期日の1月20日の正午に宣誓して大統領に就任する。

法の専門家はトランプ氏の「最後のあがき」が成果を生む可能性は低いと指摘する一方で、現職大統領による米国の民主主義体制に対する前例のない攻撃だと批判。

ミシガン州の関係筋によると、同州の州議会共和党指導部はトランプ氏の要請を受けて、20日にホワイトハウスを訪れる予定。

複数の著名な法律事務所はトランプ陣営の法廷闘争から手を引いており、トランプ氏の弁護士であるジュリアーニ元ニューヨーク市長が訴訟を指揮している。

ジュリアーニ氏は19日の記者会見で選挙結果を巡り追加提訴を予定していると明かし、票数を操作するための民主党による「全米レベルの陰謀」があったと主張した。ただ、証拠はないと認めた。州議会議員に介入を促す取り組みに関する質問には答えなかった。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・アメリカ大統領選挙、敗残のトランプを待ち構える訴訟の山 検察による刑事捜査も
・巨大クルーズ船の密室で横行する性暴力


ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナに大規模攻撃、西部テルノピリで25人死亡

ワールド

ウクライナに大規模攻撃、西部テルノピリで25人死亡

ワールド

エプスタイン文書、米司法省が30日以内に公開へ

ワールド

ロシア、米国との接触継続 ウクライナ巡る新たな進展
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 2
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 3
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、完成した「信じられない」大失敗ヘアにSNS爆笑
  • 4
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 5
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 6
    「これは侮辱だ」ディズニー、生成AI使用の「衝撃宣…
  • 7
    衛星画像が捉えた中国の「侵攻部隊」
  • 8
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 9
    ホワイトカラー志望への偏りが人手不足をより深刻化…
  • 10
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 7
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 8
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 9
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中