最新記事

日本経済

TPP11、12月30日発効へ 茂木経済再生相「自由・公正な国際経済秩序を主導」

2018年10月31日(水)10時54分

10月31日、茂木敏充経済再生相は、米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP)が12月30日発効することが決まったと発表した。写真は3月、チリのサンチアゴで開かれたTPPの署名式で撮影(2018年 ロイター/Rodrigo Garrido)

茂木敏充経済再生相は31日、米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP)が12月30日発効することが決まったと発表した。TPPは6カ国以上の国内手続きが終了してから60日後に発効することが決まっており、すでに日本、メキシコ、シンガポール、ニュージーランド、カナダが国内手続きを終えていたが、このほどオーストラリアが国内手続きを完了させた。

今後は域内の工業製品や農産品の関税が段階的に引き下げられ、保護主義の動きを強める米国に対抗する自由貿易圏が誕生する。年明け以降に日本が議長国として閣僚級のTPP委員会を開催し、新規加盟国などを議論する。

茂木再生相は、米国の離脱後も11カ国の交渉を取りまとめ発効にこぎつけた背景として「世界的に保護主義の動きが強まる中、自由で公正なルールの重要性はますます高まっている」と分析。

今後も「(日本は)自由貿易の旗手として、自由・公正なルールに基づく国際経済秩序を主導する」と述べた。

11カ国が参加すれば「域内人口5億人、GDP(国内総生産)10兆ドルと極めて大きな一つの市場が誕生し、日本の経済成長、アジア太平洋地域の発展にも大きな意義を持つ」と強調。「TPPにより、日本のGDPは8兆円近く増加する」との見通しを示した。

TPPは、自動車などの輸出には恩恵が大きいが、国内の農業・水産業には不安材料とされている。これについては「各種政策を確実に実施するとともに、関係者への丁寧な説明を行なっていく」とした。

日米交渉、米TPP復帰にプラス

米国の復帰については「すぐには難しい」(茂木再生相)が、年明けから開始される日米物品貿易協定(TAG)交渉は、「米国のTPP復帰にプラスにはなってもマイナスにはならない」との見通しを示した。

茂木再生相は新規に加盟を希望する具体的国名については言及を避けたが、すでに英国が参加を希望しているほか、中国も高い関心を持っているとされ、今後議論になりそうだ。

(竹本能文)

[東京 31日 ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2018トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トルコでIS戦闘員と銃撃戦、警察官3人死亡 攻撃警

ビジネス

独経済団体、半数が26年の人員削減を予想 経済危機

ワールド

中国軍、台湾周辺で実弾射撃伴う演習開始 港湾など封

ビジネス

韓国クーパン、顧客情報大量流出で11.8億ドルの補
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中