最新記事

中国

沈みゆく船を見切ったアリババ会長ジャック・マーが電撃退任

2018年9月21日(金)15時40分
ミンシン・ペイ(クレアモント・マッケンナ大学教授、本誌コラムニスト)

だが中国の起業家が最も恐れるのは、自分たちの成功に欠かせなかった「自由」が失われることだ。かつての李のように、マーも今が撤退の時だと感じたに違いない。

国外に目を向けても、米中の間にIT冷戦の暗雲が漂っており、起業家は先行きに期待が持てない。米政府はほぼ確実に、中国系IT企業が米国内で研究を行ったり、アメリカの技術を利用することへの制限を強めるだろう。米中の貿易戦争と併せて、IT冷戦は中国IT企業の成長を大きく阻む恐れがある。

中国政府はマーの退任を警鐘として受け止めるべきだ。政府の政策と方向性の欠如に対して、起業家が不信をあらわにした例がまた1つ増えたのだから。

いま中国は2つの前線で戦っている。1つはアメリカとの貿易戦争と来るべき地政学上の冷戦。もう1つは、経済・外交政策に対する国内での信頼低下だ。

最近の中国政府の姿勢からは、勝利につながる戦略は見えてこない。今のままでは、マーのようなビジネス界のリーダーがさらに去っていくだけだ。

本誌2018年9月25日号掲載

ニューズウィーク日本版 教養としてのミュージカル入門
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年3月17号(3月10日発売)は「教養としてのミュージカル入門」特集。社会と時代を鮮烈に描き出すポリティカルな作品の魅力[PLUS]山崎育三郎ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾、中国軍機の大量飛来再開を確認 2週間ぶり

ワールド

米中閣僚、農産物・貿易管理など協議 「率直かつ建設

ワールド

米ロ・ウクライナ3者協議、中東情勢で開催めど立たず

ワールド

インドのタンカー、無人機攻撃を受けたUAEフジャイ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 3
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングアップは「2セット」でいいのか?
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 6
    幼い子供たちの「おぞましい変化」を克明に記録...「…
  • 7
    ぜんぜん身体を隠せてない! 米セレブ、「細いロープ…
  • 8
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 9
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 10
    50代から急増!? 「老け込む人」に共通する体の異変【…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 7
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 8
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 9
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体に…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中