最新記事

非核化

非核化まで制裁続けると米国務長官 「ギャングのような」要求と北朝鮮

2018年7月9日(月)07時48分

 7月8日、訪問先の北朝鮮から来日したポンペオ米国務長官(写真左)は、安倍晋三首相と会談し、拉致問題を含め、北との協議であらゆる問題を取り上げたと語った。(2018年 ロイター/Kazuhiro Nogi)

訪問先の北朝鮮から来日したポンペオ米国務長官は8日、日米韓外相会談後の共同会見で、完全な非核化の実現まで北朝鮮への制裁を続ける方針を強調した。

北朝鮮は前日まで行った同長官との協議後に「ギャングのような」要求だったと米国を非難する声明を出したが、ポンペオ氏は会見で「誠実で生産的な話し合いだった」と述べた。

<北はCVIDを再度約束>

ポンペオ長官は6─7日に平壌を訪問し、朝鮮労働党の金英哲副委員長と非核化に向けて協議。7日夜に来日し、8日に日本の河野太郎外相、韓国の康京和外相と会って協議内容を共有した。

同長官は3者会談後の共同会見で「はっきりと言うが、北は完全で検証可能、不可逆的な非核化(CVID)にコミットすると再度約束した」と説明。「かなり詳細に次のステップについて話し合った」と語った。

6月12日の米朝首脳会談で約束したミサイルエンジンの試験施設の破壊を実行することや、朝鮮戦争で行方不明になった米兵の遺骨返還に向けた協議を7月中旬に開くことを確認したという。

米側は北側に対し、製造施設やウラン濃縮装置、資材など、非核化で廃棄すべき対象範囲が幅広いことを説明。ポンペオ長官によると、北朝鮮は説明に理解を示した。しかし、北が同意し、受け入れたかどうかは明らかにしなかった。

ポンペオ氏は7日に平壌を発つ前、「ほぼ全ての分野で進展があった」と金副委員長との協議を評価したが、北側は外務省報道官が声明を出し、「一方的でギャングのような非核化要求だった」と批判。「非核化への我々の意思が、揺らぎかねない危険な局面に直面することになった」とした。

これに対しポンペオ氏は、8日の共同会見で「北朝鮮は誠実だった。金正恩委員長が約束を守ってくれることを期待している」と語った。そのうえで「北朝鮮が求める安全の保証は行うし、関係を改善する。しかし、制裁の解除は別物。非核化が完全に達成されるまで続ける」と述べた。

3回目となる今回の訪朝中、金・朝鮮労働党委員長と面会しなかったことについては「もともと予定はなかった」とした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

セルビアはロシアとの協力関係の改善望む=ブチッチ大

ワールド

EU気候変動目標の交渉、フランスが首脳レベルへの引

ワールド

米高裁も不法移民送還に違法判断、政権の「敵性外国人

ビジネス

日銀総裁、首相と意見交換 「政府と連絡し為替市場を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:豪ワーホリ残酷物語
特集:豪ワーホリ残酷物語
2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニングをする女性、異変を感じ、背後に「見えたモノ」にSNS震撼
  • 2
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体」をつくる4つの食事ポイント
  • 3
    「見せびらかし...」ベッカム長男夫妻、家族とのヨットバカンスに不参加も「価格5倍」の豪華ヨットで2日後同じ寄港地に
  • 4
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 5
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が…
  • 6
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    Z世代の幸福度は、実はとても低い...国際研究が彼ら…
  • 9
    トレーニング継続率は7倍に...運動を「サボりたい」…
  • 10
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 1
    東北で大腸がんが多いのはなぜか――秋田県で死亡率が下がった「意外な理由」
  • 2
    1日「5分」の習慣が「10年」先のあなたを守る――「動ける体」をつくる、エキセントリック運動【note限定公開記事】
  • 3
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ女性が目にした光景が「酷すぎる」とSNS震撼、大論争に
  • 4
    50歳を過ぎても運動を続けるためには?...「動ける体…
  • 5
    25年以内に「がん」を上回る死因に...「スーパーバグ…
  • 6
    豊かさに溺れ、非生産的で野心のない国へ...「世界が…
  • 7
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害…
  • 8
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
  • 9
    首を制する者が、筋トレを制す...見た目もパフォーマ…
  • 10
    上から下まで何も隠さず、全身「横から丸見え」...シ…
  • 1
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 2
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 3
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大ベビー」の姿にSNS震撼「ほぼ幼児では?」
  • 4
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 5
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 6
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 7
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 8
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中