最新記事

映画

日本は韓国のわずか3分の1 快進撃続ける韓国の映画観客動員数

2018年7月21日(土)20時10分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)

今年上半期の映画観客動員数を伝える韓国メディアより (c) 연합뉴스TV / YouTube

<夏休みといえば娯楽大作が目白押しの映画界。ヒット作について語るときに引き合いに出される映画の観客動員数で日米韓を比べると──>

皆さんはどのくらいの頻度で映画館に足を運んでいるだろうか? 2017年の日本観客動員数は1億7448万3000人。2016年の記録には届かなかったものの2000年代としては歴代2位となった。また、映画公開本数は過去最高の1187本だった。

では、アメリカの動員数はどうだっただろう。2017年間観客動員数は12億2,531万人。1995年以降最低の数字となってしまったが、チケット料金が値上がりしたため売上高はそこまで落ち込むことはなかったという。さて、お隣りの韓国はどうだっただろうか? なんと、2億1,987万人でこの5年連続して年間観客動員数が2億人を超えている。日本の人口1億2,000万人に対して韓国は5125万人だから、いかに韓国人が沢山映画を見ているか分かるだろう。

日米韓の映画観客動員数の推移

映画はみんなで観るもの

その理由の一つとして、「お一人様の映画は寂しい」という韓国文化がある。元々韓国では「お一人様」文化がなかった。寂しがりが多いのか、何をするにもみんな一緒。韓国へ旅行に行って「料理を頼んだら二人前からしかなくて困った」という経験をした日本人も多いはずだ。しかし、近年ホンモク(お一人様ご飯)やホンヘン(お一人様旅行)など、単独行動をする若者も増えてきた。ところが、今でもアート系を除く一般映画はあまり「お一人様」の観客を見た事がない。デートや友達同士「みんなで一緒に行く娯楽」として定着しているからだ。身近なエンターテインメントで確実に2名以上の観客がやってくるため動員しやすいのだろう。

また、韓国では一般の人でも「先日観た映画が何百万人超えた!」「あの話題作、1000万人超えなるか?」など動員数で映画の成功や失敗を話題にする。日本では映画関係者以外、興行収入が何億円を超えたからヒットしたという概念はあまり無いように感じる。韓国では具体的な動員数がニュースにもなる事が多く、マーケティングにもよく利用される。映画制作会社は、先に何百万人越えを見越してポスターを制作。韓国では一般に公開するポスターは国の審査が必要なので、ヒットの兆しが見えた時点でデザイナーとマーケティング会社はすぐに専用のポスターを審査に出す準備をするのだ。

日米韓の一人あたりの年間映画鑑賞本数の推移

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中