最新記事

貿易

不公正な中国通商慣行、WTO規則では対処不可能 公聴会で米経済界

2017年10月5日(木)12時20分

10月4日、米業界団体は、中国政府が外国企業よりも国内企業を優遇していると批判し、世界貿易機関(WTO)のルールではこうした不公正な通商慣行のすべてを取り締まることはできないとの考えを示した。写真は米国と中国の国旗。2012年9月北京での代表撮影(2017年/ロイター)

米業界団体は4日、中国政府が外国企業よりも国内企業を優遇していると批判し、世界貿易機関(WTO)のルールではこうした不公正な通商慣行のすべてを取り締まることはできないとの考えを示した。

業界団体は、米通商代表部(USTR)で開かれた公聴会で、米企業は中国とのビジネスにあたり、投資の制約や国有企業への助成金、製造業の過剰設備、サイバーセキュリティー規制、技術移転の強要などの脅威に直面していると訴えた。

公聴会の内容は、中国のWTOルール順守に関するUSTRの年次報告書のほか、中国による知的財産権侵害に関するUSTRの実態調査にも影響するとみられる。

情報技術(IT)業界の団体である米国情報技術工業協議会(ITI)の幹部は、中国は外国企業を不利な立場に置く一連のルールと政策を策定し、技術移転を奨励していると語った。

USTRが今年議会に提出した中国のWTOルール順守に関する報告書でも、同様の懸念は指摘されていた。

USTR幹部のエドワード・グレッサー氏は公聴会で、不公正とみなされる中国の通商慣行のすべてをWTOルールではカバーできないとの見方が広がっていると指摘。米国と他のWTO加盟国は「WTOの規範に直接当てはまらないかもしれないが、WTOの精神に反する可能性のある中国政府の慣行を是正する効果的な方法を見出す必要がある」と語った。

米国商業会議所の大中華圏担当バイスプレジデントのジェレミー・ウォーターマン氏は、制約のある投資環境や技術移転を求める産業政策などは外国企業の投資先としての中国の魅力を低下させたと指摘。中国にWTOルールを完全に順守させたところで、これらの政策のすべてを変えることはできないとした。

[ワシントン 4日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中