最新記事

コンプライアンス

神戸製鋼所、不正発覚後も隠蔽が続く 数社からコスト負担請求も

2017年10月20日(金)21時45分

10月20日、神戸製鋼所は、製品の性能データ改ざん問題で、不正行為が明らかになったにもかかわらず、自主点検や緊急監査の際に報告していなかった事案があったと発表した。記者会見する梅原尚人副社長(手前)ら(2017年 ロイター/Issei Kato)

神戸製鋼所<5406.T>は20日、製品の性能データ改ざん問題で、不正行為が明らかになったにもかかわらず、自主点検や緊急監査の際に報告していなかった事案があったと発表した。一部管理職を含むグループ従業員が行っていたという。自主点検の信頼性にも疑問符が付きかねない状況だ。

会見には、梅原尚人副社長、山本浩司常務執行役員、勝川四志彦常務執行役員が出席。川崎博也会長兼社長は、体調不良のため出席しなかった。会見に出席した3人は、一連の不正について「全く知らないし、関与していない」と述べた。

隠蔽(ぺい)は、10月8日にアルミ・銅事業のデータねつ造を発表した後も行われていた。検査妨害に関与した数人以外の人がどれだけ知っていたかは、現在調査中。

梅原副社長は「即座に、これまでの自主点検や緊急監査のやり方が無効とは思っていない。他部署が検査するのでそれなりの客観性、有効性はある」としながらも「今回の内容を分析して、今後のやり方を考えたい」と述べた。

同社では、社内に設置している「品質問題調査委員会」に代えて、複数の外部委員のみからなる外部調査委員会を設置するとした。

ビジネスに影響、ある

データねつ造などが事業に与える影響について、梅原副社長は「現時点で、ビジネスに影響がないかと言うと、それはある」と述べた。

現時点で、賠償請求や訴訟はないものの、納入先で発生しているコストについて「その負担を数社から求められている」ことを明らかにした。また、「定量的には程度は読める状況ではない」ものの、神戸鋼の材料を使わずに、他社に注文を変えるという話もあるという。

経済産業省は12日、2週間程度で安全性の検証結果を公表することを指示した。同社は、納入先の企業に生データを提供するなどし、納入先の企業が進めている安全性の確認をサポートしている。約500社とした納入先のうち、どの程度の確認が取れているのかについて、勝川常務は「まだ、先が見えていない状況。何社終わっているかは差し控える。500社には全て連絡して、打ち合わせを始めた」という。

梅原副社長によると、定期点検の際に交換するものの「危険なのですぐ交換してくれ、使えないという話は今のところない 」という。

ただ、データ改ざんの程度を問われ「それぞれの検査項目で数字は違うし、インパクトは違う。一概に何%とは言えない」と述べるにとどめた。納入契約した数値と、実際に納入した製品の数値がどの程度乖離(かいり)しているか明らかになっておらず、不透明感がぬぐえない要因となっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

大企業製造業・業況判断DIは+15=12月日銀短観

ビジネス

MDV、日本生命によるTOB「検討中」 決定事項は

ワールド

世界各地でユダヤ教行事の警備強化、豪ビーチ銃撃受け

ワールド

チリ大統領選で右派カスト氏勝利、不法移民追放など掲
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中