最新記事

日本政治

憲法9条改正、安倍首相は公約盛り込みへ 小池氏と衆院選争点の一つに

2017年9月29日(金)14時30分

9月28日、衆院が解散され事実上、選挙戦がスタートし、争点の一つに憲法9条改正が浮上している。防衛省で幹部らを前に話をする安倍首相、11日撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

衆院が28日に解散され、事実上、選挙戦がスタートし、争点の一つに憲法9条改正が浮上している。安倍晋三首相は9条改正を自民党公約に盛り込む意向を表明。岸田文雄政調会長を中心に公約作りが急ピッチで進んでいる。

しかし党内では「首相提案」に異論が残っているほか、憲法学者を中心に懸念も出ている。希望の党代表の小池百合子東京都知事は「理解に苦しむ」と批判しており、論争の行方が衆院選の動向に影響を与えそうだ。

安倍首相は26日のNHKのテレビ番組で、自民党の公約作りに関連し「基本的には自衛隊の存在を明記する方向で議論が進んでいく」と述べた。

自民党内では、10月10日の衆院選公示に向け岸田政調会長が公約取りまとめを指示し、10月2日以降に自民党公約のドラフトが作成される方向だ。同党内では、解散は最優先の政治的課題であり、安倍首相の提唱している方向で内容を確定させる方向になっている。

ただ、石破茂・元幹事長は、安倍首相が提案している、9条1項、2項を残し自衛隊の存在を認める3項を追加することはこれまでの党内議論の方向性と違うとの主張を曲げていない。

また、希望の党の小池代表も26日の都議会で「理解に苦しむ。憲法改正が目的化している」と述べ、安倍首相の方針に疑義を示した。

解散・総選挙で騒然としている政界の議論とは別に、憲法や防衛問題に詳しい専門家の間では、憲法9条改正問題についてかなり鮮明な議論の対立が表面化していた。

憲法学者の長谷部恭男・早稲田大学法学学術院教授は「自衛隊を(憲法に)明記するなら、その規模と活動範囲をどう条文に盛り込むのか次第で、その影響が大きく異なる」と指摘する。

長谷部教授は、自衛隊の活動範囲が限定されない場合、世界のどこにでも、平和維持軍や有志連合などに加わって自衛隊が武力行使することが可能になり活動範囲を制限しない3項明記には、反対の立場を鮮明にする。そのうえで集団的自衛権は違憲であり、それを認めた憲法解釈を元に戻すべきと主張した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

鉄鋼関税、2倍の50%に引き上げへ トランプ米大統

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中