最新記事

米大統領

トランプに「職務遂行能力なし」、歴代米大統領で初の発動へ?

2017年8月17日(木)17時28分
ジェイソン・ルミエール

ネオナチと抗議者「双方に非がある」という発言について記者会見するトランプ Kevin Lamarque-REUTERS

<白人至上主義を擁護する発言をきっかけに、野党議員が副大統領への権限移譲による「合法的クーデター」を提案。「大統領には常規を逸した言動や精神的に不安定な兆候が見られ、アメリカは重大な危険にさらされている」という危機感が広まりつつある>

ドナルド・トランプ米大統領の周囲には、就任以前から弾劾を求める声が渦巻いていた。だが今や、弾劾などという悠長な手段ではなく、もっと手っ取り早くお払い箱にすべきだとの声が上がっている。

ネオナチや白人至上主義者と、それに抗議する人々を同列に扱うトランプの人権感覚にあきれ果てた民主党議員が合法的なクーデターを提案したのだ。

【参考記事】トランプを追い出す4つの選択肢──弾劾や軍事クーデターもあり

合衆国憲法修正第25条に基づき、マイク・ペンス副大統領以下、トランプ政権の閣僚の過半数がトランプは「大統領の権限と義務を遂行できない」と申し立てれば、トランプの職権を停止できる。

「大統領には常規を逸した言動や精神的に不安定な兆候が見られ、アメリカは重大な危険にさらされている」と、民主党のジャッキー・スペアー下院議員(カリフォルニア州選出)は15日にツイートした。

大統領が無能なときのための定めが

バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者が集会を開き、それに抗議する人たちに車が突っ込んで女性1人が死亡した事件で、トランプがどちらの側にも「非常に良い人たち」がおり、「双方に非がある」と主張したことを受けたツイートだ。

【参考記事】トランプが共鳴する「極右思想」 ルネ・ゲノンの伝統主義とは?
【参考記事】ポートランドでヘイト暴言への抗議に痛ましい代償

修正第25条は63年のジョン・F・ケネディ大統領の暗殺を機に提案され、67年に成立した。大統領が急死するか辞任するか、もしくは職務を遂行できなくなった場合に副大統領に権限を委譲する手続きを明確化した修正条項だ。

【参考記事】トランプ降ろし第3のシナリオは、副大統領によるクーデター

その第4節には、副大統領と行政府の長官の過半数が上院の臨時議長および下院議長に「大統領には職務を遂行する能力がない」と文書で申し立てれば、大統領に代わって副大統領が職務を遂行できると定めてある。ただし、大統領がこれに不服を申し立てた場合、大統領を辞めさせるには上下院の3分の2の支持が必要になる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国万科の社債37億元、返済猶予期間を30日に延長

ワールド

中国軍、台湾周辺で「正義の使命」演習開始 30日に

ビジネス

先行きの利上げペース、「数カ月に一回」の声も=日銀

ビジネス

スポット銀が最高値更新、初めて80ドル突破
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それでも株価が下がらない理由と、1月に強い秘密
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「アニメである必要があった...」映画『この世界の片…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    2026年、トランプは最大の政治的試練に直面する
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中