最新記事

米中関係

米中断交さえ!? 台湾総統の米国経由外交

2017年1月10日(火)16時00分
遠藤誉(東京福祉大学国際交流センター長)

 これはトランプ次期大統領が昨年12月11日に発した「米国が"一つの中国"原則に縛られるか否かは、中国の出方次第だ」という趣旨の言葉に勝るとも劣らない内容である。

いざとなれば米中断交だって怖くない――環境時報

 蔡英文総統は同じくテキサス州のアボット知事(共和党)とも会談し、クルーズ議員との会談同様、台湾とアメリカの経済協力や軍事関係を協議したとのこと。

 共和党重鎮のマケイン上院軍事委員長とも電話会談している。

 さらに、共和党のファレンソルド下院議員は蔡英文総統と会談したことを明らかにしたうえで、「アメリカと台湾の関係を不安視する人もいるが、トランプ政権で、アメリカも台湾も偉大になると信じている」と述べ、トランプ政権が台湾との関係強化に乗り出すという見通しを示したとのこと。

 そうでなくとも北京政府は、「蔡英文は必ず制裁を受けることになる。現に昨年(12月20日)、台湾と国交を結んでいたサントメ・プリンシペ国は台湾と国交を断絶し中華人民共和国と国交を結んだ(12月26日)。台湾を国家と認める国は、この地球上でわずか21カ国しかないが、それも一気に無くなっていくだろう」と環球時報に言わせていた。

 環球時報は中国共産党の機関紙「人民日報」の姉妹紙だ。したがって環球時報の記事は中国共産党(習近平政権)の意志を反映していると見ていいだろう。

 その環球時報は一歩進んで、米国が「一つの中国」原則を踏みにじるようなことがあったら、「中国はいざとなったら、米中国交断絶さえ恐れてはいない」と強気の報道をしている。

共和党系シンクタンクの代表とランチミーティング

 台湾の「自由時報」によれば、蔡英文総統はヒューストン滞在中に共和党系のシンクタンクの代表とランチミーティングをして、米国の台湾政策に関して深い討議を行なったとのこと。

その面々がおもしろい。

1.ヘリテージ財団の創設者、エドウィン・フルナー(Edwin Feulner)氏
2.ヘリテージ財団・アジア研究センター主任のウォルター・ローマン(Walter Lohman)氏
3.Project(プロジェクト)2049の総裁、ランディ・シュライバー(Randall Schriver)氏

などである。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=円が軟化、介入警戒続く

ビジネス

米国株式市場=横ばい、AI・貴金属関連が高い

ワールド

米航空会社、北東部の暴風雪警報で1000便超欠航

ワールド

ゼレンスキー氏は「私が承認するまで何もできない」=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中