最新記事

北朝鮮

北の「ドローン部隊」「サイバー部隊」が韓国を襲う可能性

韓国へのサイバー攻撃もドローンによる物体投下もすでに実施しており、米韓合同軍事演習への反発から、何らかの本格的な攻撃を仕掛けてこないとも限らない

2016年3月10日(木)15時48分
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト) ※デイリーNKジャパンより転載

実戦に投入されるのか 昨年10月に平壌で行われた朝鮮労働党創建70周年記念の軍事パレードで披露された無人航空機(ドローン) James Pearson-REUTERS

 北朝鮮の権力機関やメディアが連日、「総攻勢」「先制攻撃」など過激な表現で米韓合同軍事演習への反発を強めている。だが実際のところ、北朝鮮はそのような"勇ましい"行動に出ることができるのだろうか。

 その答えは「ノー」とすべきだろう。ただでさえ米韓連合には劣勢である上、演習のため朝鮮半島に米軍の戦力が集結している条件下で手を出すのは愚の骨頂である。

 だからといって、北朝鮮が何ら手出しをしないとも限らない。

 韓国政府ではいま、北朝鮮による大規模サイバーテロの脅威が増大しているとして緊張感が高まっている。国家情報院によれば、北朝鮮は4回目の核実験以降、すでに重要施設のウェブサイトや重要人物のスマートフォンなどへのサイバー攻撃を繰り返しているという。そうした任務を担うのはゲーム会社などのITエンジニアとして海外に派遣された秀才たちであり、その行動は完璧には把握されていない。

 北朝鮮によるサイバー攻撃と言えば、「金正恩氏暗殺映画」を制作したソニーの映画子会社、米ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)への大規模なハッキングが思い出される。

 もっとも、この事件については北朝鮮犯行説に一部で疑問符が付けられているのも事実だ。

(参考記事:サイバー攻撃「真犯人を知っているが北朝鮮も気に入らないから教えない」とマカフィー創業者

 一方、当の北朝鮮は「犯人」として断定されたことに猛反発したが、その後は少し開き直ったのか、「絶妙無双のサイバー戦で米国の滅亡を早めてやる」などとする声明も発表している。もしかしたら金正恩第一書記は、外国から「北のサイバー戦能力はヤバい」と言われることに、世界の先端を走っているようで悪い気がしていないのかもしれない。

 もうひとつ、北朝鮮による嫌がらせの手段になりそうなのが、無人航空機(ドローン)部隊による「爆撃」である。これは、すでに韓国に対して行われているものだ。

(参考記事:北朝鮮のドローン部隊が韓国を「爆撃」している

 もちろん、韓国の領土に本物の爆弾を落とそうものなら、米韓軍から数百、数千倍の報復を受けるのは避けられない。だが、普通の感覚では思いつかない、何か意外なものを落として韓国国民の不安感を誘う、というような心理戦ぐらいならやるかもしれない。

[筆者]
高英起(デイリーNKジャパン編集長/ジャーナリスト)
北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。98年から99年まで中国吉林省延辺大学に留学し、北朝鮮難民「脱北者」の現状や、北朝鮮内部情報を発信するが、北朝鮮当局の逆鱗に触れ、二度の指名手配を受ける。雑誌、週刊誌への執筆、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に『コチェビよ、脱北の河を渡れ――中朝国境滞在記』(新潮社)、『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』(宝島社)、『北朝鮮ポップスの世界』(共著、花伝社)がある。

※当記事は「デイリーNKジャパン」からの転載記事です。
dailynklogo150.jpg

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-カタールLNG輸出17%停止、

ワールド

ネタニヤフ氏、ホルムズ海峡の代替ルート提唱 中東横

ワールド

訂正(19日配信記事)-米国家情報長官、中間選挙巡

ビジネス

アングル:イラン戦争によるガソリン価格高騰、EV販
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン革命防衛隊
特集:イラン革命防衛隊
2026年3月24日号(3/17発売)

イスラム神権国家を裏からコントロールする謎の軍隊の歴史と知られざる実力

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え時の装いが話題――「ファッション外交」に注目
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    韓国製ミサイル天弓-II、イラン戦争で96%迎撃の衝撃 ──「成功」が招く自国防衛の弱体化
  • 4
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 5
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 6
    原油高騰よりも米国経済・米株市場の行方を左右する…
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する…
  • 9
    「マツダ・日産・スバル」が大ピンチ?...オーストラ…
  • 10
    トランプ暴走の余波で加熱するW杯「ボイコット論」..…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期スペイン女王は空軍で訓練中、問われる「軍を知る君主」
  • 3
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が発生し既に死者も、感染源は「ナイトクラブ」
  • 4
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
  • 7
    【衛星画像】イラン情勢緊迫、米強襲揚陸艦「トリポ…
  • 8
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 9
    住宅建設予定地に眠っていた「大量の埋蔵金」...現在…
  • 10
    「ネタニヤフの指が6本」はなぜ死亡説につながったの…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中