最新記事

ウェルビーイング

「日本型ウェルネス市場」の可能性...少子高齢化が進む日本に必要なのは「健康を目指すコミュニティ」

2024年12月14日(土)11時00分
小林 薫(本誌記者)
ヨガをする女性たち

Courtesy of lululemon

<急速な少子高齢化と人口減によって消費市場が縮小する日本だが、ウェルビーイングに着目すれば、新しいニーズも生まれている...。「ルルレモン ジャパン」社長に聞く>

ウェルネスブームの波と日本の課題

急速な少子高齢化が進む日本において、労働人口の減少と社会構造による経済の停滞は大きな課題になっている。その一方で、健康寿命を延ばし、生活の質を向上させる「ウェルネス市場」は急成長している。

2025年に約38兆円が見込まれるウェルネス市場は、2030年には約47兆円に達するという予測もある。高齢化が進む中、個人の健康志向が高まり、企業や自治体が積極的にウェルネスに関するプログラムを推進し、コミュニティレベルでの取り組みが進んでいるためだ。

このような社会的変化が日本のウェルネス市場の可能性を広げているが、同時に課題もある。それは多様な消費者ニーズに応えるための新たなイノベーションである。

そんな中、カナダ発のアスレチックブランド「ルルレモン(lululemon)」が日本市場での存在感を高めている。長年、ヨガウェアブランドとして知られてきた同社が、日本の社会的文脈にどう適応し、どのように挑んでいくのか。


ルルレモンが見る「日本型ウェルネス」の可能性


スチュアート・テューダー社長

2020年から「ルルレモン ジャパン」を率いるスチュアート・テューダー社長。Newsweek Japan


「日本は急速な少子高齢化に直面していますが、それは同時に、ウェルネスに関する市場の可能性が広がっていることを意味します。私たちは、ただ商品を売るのではなく、人々がより良い生活を送るための『プラットフォーム』を提供したいと考えています」

このように語るのは、スチュアート・テューダー(Stewart Tudor)日本法人社長だ。ルルレモンは、日本市場を単なる商品販売の場とはとらえていない。強調するのは、「ライフスタイル」と「コミュニティ」である。

日本では従来、健康に対する取り組みは医療やスポーツといった身体の文脈で語られることが多かった。しかし、ルルレモンが注目するのは、身体だけでなく精神的な幸福をも含む「ウェルビーイング(well-being)」の概念だ。

同社が発行する「2024グローバル・ウェルビーイング・レポート(2024 Global Wellbeing Report)」によると、「ウェルビーイング」とは、「身体的(Physical)」、「精神的(Mental)」、そして「社会的(Social)」に健康であることを指すという。

しかし、「ウェルビーイングでなくてはならない」という社会的なプレッシャーとSNSなどデジタル上でのつながりが逆に孤独感を生んでいることも、調査結果から判明したという。その解決策の1つとして、リアルなコミュニティで一緒に体を動かすことを挙げる。

「オリンピック選手のように競う必要はないのですから、汗をかいて、ただ一緒に楽しく体を動かせばいいのです。そのためのハブ(拠点)としての機能をルルレモンはこれからも果たしていくつもりです」と、テューダー氏。

BAT
「より良い明日」の実現に向けて、スモークレスな世界の構築を共に
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

英財務相、11月26日に年次予算発表 財政を「厳し

ワールド

金総書記、韓国国会議長と握手 中国の抗日戦勝記念式

ワールド

イスラエル軍、ガザ市で作戦継続 人口密集地に兵力投

ビジネス

トルコ8月CPI、前年比+32.95%に鈍化 予想
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 4

    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…

  • 5

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 4

    人肉食の被害者になる寸前に脱出した少年、14年ぶり…

  • 5

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

  • 1

    「レースのパンツ」が重大な感染症を引き起こす原因に

  • 2

    女性の胎内で育てる必要はなくなる? ロボットが胚…

  • 3

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 4

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

  • 5

    なぜ女性の「ボディヘア」はいまだタブーなのか?...…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:豪ワーホリ残酷物語

特集:豪ワーホリ残酷物語

2025年9月 9日号(9/ 2発売)

円安の日本から「出稼ぎ」に行く時代──オーストラリアで搾取される若者たちの実態は