最新記事

ミスコン

「水着に抵抗はなかった」、元ミス・アメリカが現代のミスコンに思うこと

I Was Miss America

2021年10月15日(金)20時00分
パメラ・エルドレッド(1970年のミス・アメリカ)
パメラ・エルドレッド

1970年のミス・アメリカに選ばれたエルドレッド(左) COURTESY OF PAM ELDRED

<ミス・コンテストが最も注目を浴びていた時代にミス・アメリカになり、社会に発言する機会を持てたのは素晴らしい経験だった>

半世紀前はミスコン花盛りの時代だった。「ミス・アメリカ」のコンテストが始まると、みんなテレビにかじりついて見ていた。

1968年、私は20歳でミス・デトロイトのコンテストに参加した。ずっとバレエをやってきたのに脚を痛めてしまい、何か別の目標を探していたから。学習障害のある妹がいて、何かと出費がかさむのを知っていたので、お金も欲しかった。優勝すれば奨学金をもらえると聞いていた。

それで私は勝ち上がり、優勝した。続いてミス・ミシガン州のコンテストにも出たけれど2位止まり。でも翌69年には優勝できた。

その年の9月、私はミシガン州を代表してミス・アメリカの座に挑んだ。4種類の審査があり、水着が25%、才能が50%、イブニングドレスと質疑応答がそれぞれ25%の配点だった。才能のウエートが重いのは、「テレビ映え」が求められたからだ。

その年も、会場の外ではミスコン反対のデモがあった。でも、バレエをやっていた私は水着に抵抗を感じなかった。体の線をチェックされるのには慣れていた。

ミスコンのおかげで発言の場を持てた

今なら私も水着にはならないと思う。水着が嫌で参加しなかった人はたくさんいる。でも2018年に水着審査が廃止されたとき、失望した人がいるのも事実。水着になるのは体の健康美を見せるためだと、彼女たちは信じていた。

あの頃、女性には今ほど発言の場がなかった。でも私はミスコンのおかげで発言の場をつかみ取れた。

最後の質疑応答で、審査員が私に投げた質問はこうだった。「姉妹がいるようですが、妹さんにはこれからの時代の女性について、どんなアドバイスをしますか?」

私はこう答えた。あいにく妹は脳に障害を抱えているので時代をつくる女性たちの仲間にはなれないと思いますが、若い女性たちには、どうか自分らしく生きてほしいと言いたいです──。そうしたら、みんな驚いたようで、大変な反響があった。ミス・アメリカとしての活動中も、学習障害について発言する機会がたくさんできた。

70年のミス・アメリカに選ばれて以来、私は全米各地を毎日のように回った。それが私の仕事だった。でも、モノ扱いされていると感じたことはない。水着の撮影は一度もなく、旅の間はいつも誰かが大事に付き添ってくれた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米経済、26年第1四半期までに3─4%成長に回復へ

ビジネス

米民間企業、10月は週1.1万人超の雇用削減=AD

ワールド

米軍、南米に最新鋭空母を配備 ベネズエラとの緊張高

ワールド

トルコ軍用輸送機、ジョージアで墜落 乗員約20人の
あわせて読みたい

RANKING

  • 1

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 2

    「前世で出会った」 自称「霊媒師」とノルウェー王女…

  • 3

    「泣かされた」──マドンナが親友MJの生涯を描いたミ…

  • 4

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 5

    マイケルが残した「虐待の連鎖」の悲しい謎──被害男…

  • 1

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    「SNSで話題の足裏パッドで毒素は除去されない」と専…

  • 4

    2100年に人間の姿はこうなる? 3Dイメージが公開

  • 5

    ハリウッド大注目の映画監督「HIKARI」とは? 「アイ…

  • 1

    「エプスタインに襲われた過去」と向き合って声を上…

  • 2

    残忍非道な児童虐待──「すべてを奪われた子供」ルイ1…

  • 3

    加工した自撮り写真のように整形したい......インス…

  • 4

    「恐ろしい」...キャサリン妃のウェディングドレスに…

  • 5

    やはり「泣かせた」のはキャサリン妃でなく、メーガ…

MAGAZINE

LATEST ISSUE

特集:世界最高の投手

特集:世界最高の投手

2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍