最新記事
株の基礎知識

日本株はどこまで上がる? カギを握るのは「欧米」ではなく「欧州」投資家。その思惑とは...

2023年6月29日(木)17時40分
山下耕太郎 ※かぶまどより転載

■いま、欧州勢が日本株に向かう理由

カントリー・アロケーションでは多くの場合、株価指数に連動するパッシブ(受動的)な金融商品に投資しますが、流動性の高い大型個別銘柄に投資することもあります。最近の日本市場における大型株の堅調なパフォーマンスは、欧州勢の投資行動が大きいと考えられます。

もともと欧州の投資家は中国に一定の資金を投じていました。しかし、中国がロシアとともに欧米に対抗する姿勢を示していることや、中国の景気回復が鈍化しているとの見方から、現在では中国への投資に慎重な投資家が多くなっているのです。

一方、欧米に比べれば遅いとはいえ、コロナ禍から立ち直りつつある日本企業への期待は高まっています。そのため、欧州の投資家が中国から日本へシフトしている可能性もあります。

海外投資家の視点で日本株を見る

海外投資家の動向は、日本株の相場を左右する重要な要素です。ただし、短期的な急騰・急落に惑わされず、幅広い視野をもって投資判断を行うことが重要です。

日経平均株価は1990年7月以来、およそ「33年ぶりの高値」を更新しています。しかしながら、ドル建てで見た場合の株価はまだ「1年ぶりの高値圏」にとどまっており、海外投資家の高値警戒感はさほど広がっていない、との見方もあります。

日本では日経平均株価が最も有名な株価指数ですが、海外投資家にとってはドル建ての日経平均株価のほうが重要です。なぜなら、海外投資家は自国通貨建てで日本株に投資するため、ドル建ての日経平均株価のほうが投資判断に役立つからです。

■ドル建てなら日本株はまだ「安い」?

ドル建て日経平均株価は、円建ての日経平均株価(通常の日経平均株価)を、その日の為替レートに置き換えることで算出できます。例えば、円建て日経平均株価が30,000円で、為替レートが1ドル=100円の場合、ドル建て日経平均株価は300ドルです。

●円建て日経平均株価÷為替レート=ドル建て日経平均株価

ドル建て日経平均株価は、円建て日経平均株価と為替レートという2つの要因によって変動します。したがって、円建て日経平均株価が10%下落しても、為替レートが円高方向に20%動けば、ドル建て日経平均株価は約10%上昇します(実際には0.9×1.2なので約8%の上昇)。

6月23日時点のドル建て日経平均株価は228ドル。2021年2月につけた過去最高値の約290ドルに比べると約8割の水準で、いまだ割高感は乏しいと言えます。海外投資家は6月第2週まで12週連続で日本株を買い越していますが、この買い越しがどこまで続くかに注目が集まります。

(参考記事)株価に大きな影響を与える「外国人投資家」とは何者か? その動向を探る

[執筆者]
山下耕太郎(やました・こうたろう)
一橋大学経済学部卒業。証券会社でマーケットアナリスト・先物ディーラーを経て、個人投資家に転身。投資歴20年以上。現在は、日経225先物・オプションを中心に、現物株・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。趣味は、ウィンドサーフィン。ツイッター@yanta2011 先物オプション奮闘日誌

※当記事は「かぶまど」の提供記事です
kabumado_newlogo200-2021.jpg

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

中東情勢を注視、中心的見通し実現すれば政策金利引き

ビジネス

日経平均は3日続落、連日で今年最大下げ幅 衆院選後

ビジネス

オリックス、SGKHDの全株式をカーライル系に譲渡

ワールド

米中間選挙に向け予備選始まる、共和はテキサス州で決
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプのイラン攻撃
特集:トランプのイラン攻撃
2026年3月10日号(3/ 3発売)

核開発の断念を迫るトランプ政権が攻撃を開始。イランとアメリカの本格戦争は始まるのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 3
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られる」衝撃映像にネット騒然
  • 4
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 5
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 6
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 7
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 8
    人気の女性インフルエンサー、「直視できない」すご…
  • 9
    イランへの直接攻撃は世界を変えた...秩序が崩壊する…
  • 10
    「日本食ブーム」は止まらない...抹茶、日本酒に「あ…
  • 1
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 2
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 3
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 4
    BTS復活...でも、韓国エンタメが「苦境」に陥っている
  • 5
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 6
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 7
    「毎日が人生最後の日」だと思って酒を飲む...84歳医…
  • 8
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 9
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 10
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 5
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中