最新記事

株の基礎知識

「メタバース」株式市場で期待の理由、注目の関連11銘柄

2022年1月27日(木)11時35分
佐々木達也 ※かぶまどより転載

■断然注目は、あのソニー

そんなメタバース関連銘柄のなかでも注目したいのが、ソニーグループ<6758>です。

ソニーは2016年に「プレイステーションVR」を発売しており、さらに2022年1月5日、次世代機であるプレイステーション5用の新型「プレイステーションVR2」を正式発表しました。この新型VRシステムは解像度や視野角などあらゆる点を強化して、プレイステーションらしいユニークな体験を実現できるとされています。

また、ソニーが出資している米エピックゲームズが手がけるオンラインゲーム「フォートナイト」は全世界で3億5000万人のユーザーを抱えています。そのゲーム内ではアリアナ・グランデや米津玄師が仮想空間でライブを行って話題となりました。そのほか、映画のプロモーションやアイテムの売買なども活発に行われています。

このようにソニーは、グループ全体でメタバースに必要なハード、ユーザー、コンテンツなどについてすでに強みを持っているのです。

代表執行役会長兼社長CEOの吉田憲一郎氏はソニーの存在意義(Purpose)を「クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たす」と定義しています。メタバースの広がりはソニーの「半導体」「ゲーム」「音楽」「映画」などの事業分野と相性が良いため企業成長の大きな柱となりそうです。

kabumado20220127metaverse-chart1.png

注目度が高いだけに注意も必要

幅広い業界で注目が集まるメタバースですが、投資家の関心が高いこともあって、関連銘柄には多額の短期資金が流入して株価が急騰することも多くなっているため、実際に投資するにあたっては注意が必要です。

●シャノン<3976>

マーケティングなどのソフト開発を手がけるシャノン<3976・マザーズ>は、2021年10月末にメタバース型のバーチャル展示会開催サービスを企業向けに開始すると発表し、株価が急騰。11月4日には2,710円の年初来高値をつけましたが、その後は資金の逃げ足も早く、12月には1,400円台まで売られて、いわゆる「行って来い」の株価推移となりました。

kabumado20220127metaverse-chart2.png

●シーズメン<3083>

アパレル小売のシーズメン<3083・ジャスダック>は、2021年12月初旬にファッションブランドのメタバース参入支援事業を開始すると発表。10月にはメタバースのアバター向けなどのアパレルブランドを立ち上げるなど、メタバース関連として物色されました。株価は、10月安値の280円から11月高値は2,540円と急騰し、乱高下する場面がありました。

kabumado20220127metaverse-chart3.png

今後もいろいろな企業がメタバースに参入するとみられますが、短期での株価乱高下も想定されることから、そうした材料をもとに手がける場合には「そういうものだ」と割り切って、機敏なスタンスを取る姿勢が必要でしょう。

[執筆者]
佐々木達也(ささき・たつや)
金融機関で債券畑を経験後、証券アナリストとして株式の調査に携わる。市場動向や株式を中心としたリサーチやレポート執筆などを業務としている。ファイナンシャルプランナー資格も取得し、現在はライターとしても活動中。株式個別銘柄、市況など個人向けのテーマを中心にわかりやすさを心がけた記事を執筆。

※当記事は「かぶまど」の提供記事です
kabumado_newlogo200-2021.jpg

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA

ビジネス

根強いインフレ、金融安定への主要リスク=FRB半期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 5

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 6

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 7

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 8

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 9

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中