最新記事

オーストラリア

大人気UGGブーツの、日本人が知らない倒産危機

2022年5月3日(火)16時50分
平野美紀(在シドニー)
羊毛のブーツ

Ralf Geithe-iStock.

<世界中で人気の「UGG(アグ)」はオーストラリア生まれ。だが商標をめぐる裁判があり、豪古参メーカーが倒産の危機に陥っている>

モコモコの羊毛を使った世界中で人気のブーツ「UGG(アグ)」はオーストラリアで生まれた。羊の毛刈り職人が1920年代から履き始め、今も複数の国内業者が製造を続ける。

「アグ」という名は、1960年代にシドニーのサーファーが「足が巨大に見えて不格好だ」と、ugly(醜い)を縮めて呼んだことに始まる。

だが、本当に「醜い」のはここからだ。

1968~71年に「アグ」に関する複数の商標が国内で登録された。1970年代、アメリカで人気が出ると、在米オーストラリア人が販売会社を設立した。

1995年にその人物が会社を米大手靴メーカーのデッカーズへ売却すると、同社がオーストラリアを除く130カ国以上で商標登録を行う。結果、本場の豪「アグ」メーカーが国外販売の際に提訴されるケースが相次いだ。

デッカーズ製品の大半が中国製であることから「オーストラリア製こそ本物のアグ」という豪メーカーと、商標権を主張するデッカーズ。

裁判が長期に及ぶなか、米連邦地方裁判所が豪古参メーカーを商標権侵害と認定し、2021年に控訴が棄却された。同メーカーは現在、巨額の賠償金支払いで倒産の危機に陥っている。

あなたのブーツはどちらの「アグ」だろうか。

ニューズウィーク日本版 ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月24号(2月17日発売)は「ウクライナ戦争4年 苦境のロシア」特集。帰還兵の暴力、止まらないインフレ。国民は疲弊し、プーチンの足元も揺らぐ

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

1月コンビニ売上高は1.6%増、過去最高 11カ月

ビジネス

午後3時のドルは155円前半で小動き、イラン情勢警

ビジネス

豪年金基金ユニスーパー、豪ドルは割安と判断 ヘッジ

ビジネス

マクロスコープ:高市演説の「目玉」に期待と不安、予
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より日本の「100%就職率」を選ぶ若者たち
  • 2
    海外(特に日本)移住したい中国人が増えている理由...「落葉帰根」派も「落地生根」派も
  • 3
    中道「大敗北」、最大の原因は「高市ブーム」ではなかった...繰り返される、米民主党と同じ過ち
  • 4
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 5
    中国政府に転んだ「反逆のアーティスト」艾未未の正体
  • 6
    IMF、日本政府に消費減税を避けるよう要請...「財政…
  • 7
    ディープフェイクを超えた「AI汚染」の脅威──中国発…
  • 8
    ウクライナ戦争が180度変えた「軍事戦略」の在り方..…
  • 9
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 1
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 2
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 3
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 4
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 5
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 6
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 7
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 8
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中