コラム

斬首、毒殺......イランで続発する「名誉殺人」という不名誉

2020年07月31日(金)16時40分

イスラム法は殺人について、被害者親族が犯人に対して同害報復刑か賠償金を決める権利を有すると定めるが、スンニ派4法学派のうち3派は父が娘を殺しても同害報復刑の対象にはならないとし、1派のみ母親がそれを求める権利を認める。

イラン・イスラム刑法も、娘を殺した罪で有罪となった父に対し、最長で禁錮10年の刑を科するにとどめる。ニューヨーク・タイムズ紙は既出の14歳の娘を殺した父親について、あらかじめ法の専門家に相談し、娘を殺しても死刑判決が下されることはないと知っていたと報じた。

ポンペオ米国務長官は7月1日の会見で、イランで続発する名誉殺人に言及し、「イランの腐敗した指導者たちは40年間こうした殺人を容認し、女性たちの人間性を奪ってきた」と批判した。しかしこれはイランだけの問題ではない。

必要とされるのは名誉殺人を厳しく罰する法の整備と、家族の名誉のために女性が殺されることはあってはならないと教える教育である。女性の人権の確保は、真の民主主義実現には絶対不可欠だ。

<本誌2020年8月4日号掲載>

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プロフィール

飯山 陽

(いいやま・あかり)イスラム思想研究者。麗澤大学客員教授。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。博士(東京大学)。主著に『イスラム教の論理』(新潮新書)、『中東問題再考』(扶桑社BOOKS新書)。

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