ニュース速報
ワールド

中国、G20会合でトランプ氏への支持表明 ウクライナ和平に向け

2025年02月21日(金)13時29分

 2月20日、中国の王毅外相(写真)は、南アフリカで開催された20カ国・地域(G20)外相会合で、ウクライナでの戦争終結に向けてロシアとの合意を目指すトランプ米大統領への支持を表明した。写真は米ニューヨークで18日撮影(2025 ロイター/Brendan McDermid)

Joe Cash Laurie Chen

[北京 21日 ロイター] - 中国の王毅外相は20日、南アフリカで開催された20カ国・地域(G20)外相会合で、ウクライナでの戦争終結に向けてロシアとの合意を目指すトランプ米大統領への支持を表明した。

大統領就任から1カ月も経たないうちに、トランプ氏はウクライナでの紛争を巡るこれまでのロシア孤立政策を転換。ロシアのプーチン大統領との電話会談や、米ロ高官による会合を実現させた。

トランプ大統領は19日、ウクライナのゼレンスキー大統領を「選挙なき独裁者」と糾弾。欧州は反発している。

中国外務省によると、王氏は「米ロの最近のコンセンサスを含む(ウクライナの)平和に資する全ての努力を支持する」と強調。「中国は、危機の政治的解決に向け建設的な役割を果たし続ける」と述べた。

14日のミュンヘン安全保障会議では、ロシアとウクライナの紛争に関わる全ての利害関係者が和平交渉に参加すべきと主張していたが、今回はこの点に言及しなかった。

<「米ロ関係改善に概して前向き」>

北京外国語大学で欧州連合(EU)研究部門責任者を務める崔洪建氏は「中国は米ロ関係の改善や、ウクライナ危機が政治的解決に向かうことを概して前向きに捉えているが、交渉や米ロ関係の方向性には細心の注意を払うだろう」と指摘。「中国が仲介に参加すれば、米国がロシアとの関係改善を利用して中国の利益を害するリスクを減らすことができる」と述べた。

また、王氏が全ての利害関係者を交渉に参加させるべきだと発言していたことについては、ウクライナや欧州だけでなく、中国やグローバルサウス(新興国・途上国)諸国も含まれていると付け加えた。

一方、他のアナリストは、中国は地政学的リスクを取ることを避けたいと考えているとして、現時点で中国が実質的に関与してくることに懐疑的だった。

カーネギー・ロシア・ユーラシア・センターのアレクサンダー・ガブエフ所長は「トランプ氏は当初、中国の関与を望んでいたが、今はプーチン氏と話している。彼はプーチン氏とのディール(取引)に中国は必要なく、プーチン氏が彼に完璧でより良いディールをもたらしてくれるという印象を持っている」との認識を示した。

別のアナリストは中国について、ウクライナの復興に参加したいと考えているため、交渉のドアに足を踏み入れたままにしておきたいのではないかと指摘する。

トニー・ブレア・グローバル・チェンジ研究所の中国専門家、ルビー・オスマン氏は「中国は最終的な復興と平和維持における中国の役割について議論することに関心を向けるかもしれない。それにより、中国は欧州安全保障構造にかなり食い込むことなる」と語った。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、ナイジェリア上空で監視飛行 トランプ氏の軍事介

ビジネス

仏、政府閉鎖回避へ緊急つなぎ予算案 妥協案まとまら

ワールド

米大統領、史上最大「トランプ級」新型戦艦建造を発表

ワールド

韓国中銀、ウォン安など金融安定リスクへの警戒必要=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 5
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中