ニュース速報
ワールド

エジプト境界に監視システム設置、ガザ停戦協議で浮上 軍駐留の代案

2024年07月12日(金)21時39分

7月12日、 エジプト筋などによると、パレスチナ自治区ガザの停戦に向けたイスラエルとエジプトの交渉担当者は、停戦合意に達した場合に、ガザとエジプトの境界沿いに電子監視システムを導入し、イスラエル軍は撤退する案を協議している。写真は9日、ガザとの境界近くで砲撃を行うイスラエル軍(2024年 ロイター/Amir Cohen)

Ahmed Mohamed Hassan Maayan Lubell Maayan Lubell

[カイロ 12日 ロイター] - エジプト筋などによると、パレスチナ自治区ガザの停戦に向けたイスラエルとエジプトの交渉担当者は、停戦合意に達した場合に、ガザとエジプトの境界沿いに電子監視システムを導入し、イスラエル軍は撤退する案を協議している。

イスラエル軍の駐留は停戦合意を妨げている問題の一つ。イスラエルと戦闘中のイスラム組織ハマスと、協議の仲介役であるエジプトはともに、イスラエル軍が境界に駐留し続けることに反対している。

イスラエルは、もしイスラエル軍が境界一帯「フィラデルフィ回廊」から撤退した場合に、ハマスの武装組織がエジプトからトンネルを経由してガザに武器や物資を密輸入し、再武装して再びイスラエルを攻撃する可能性を懸念している。

一方で監視システムは、交渉の当事者が詳細で合意すれば、停戦合意への障害を取り除く可能性がある。

関係筋が匿名を条件に語ったところでは、協議されているのは基本的にフィラデルフィ回廊のエジプト側に設置されるセンサーで、トンネルなど、武器や人をガザに運び込もうとする手段を探知することが狙い。人質取引で重要な要素になるという。

エジプト安全保障筋は匿名を条件に、イスラエルの交渉担当者はハイテク監視システムについて言及したと明らかにした。エジプトはこの監視システム導入案について、米国が支援し、費用を支払うなら、反対しないという。ただ同関係筋は、エジプトは先の和平条約で定められたイスラエルとの国境協定の変更には応じないとの見方を示した。

<イスラエルは否定>

イスラエル首相府は、ロイターの報道後、イスラエルがフィラデルフィア回廊からの撤退を協議しているというのは「完全なフェイクニュース」とする声明を発表した。

「首相はイスラエルがフィラデルフィア回廊に留まると主張している。首相は交渉チームにそのように指示し、今週、米政府関係者にそれを明確に伝え、昨夜の安全保障閣僚会議で表明した」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ホンダがAstemoを子会社化、1523億円で日立

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

トランプ氏がBBC提訴、議会襲撃前の演説編集巡り巨

ビジネス

英総合PMI、12月速報は52.1に上昇 予算案で
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中