米「ザンタック」訴訟、結腸がん発症主張を退ける初評決
胸焼け薬「ザンタック」(既に販売中止)服用で結腸がんを発症したとして、米中西部イリノイ州の女性(89)が医薬品メーカーの英グラクソ・スミスクライン(GSK)とドイツのベーリンガーインゲルハイムに6億4000万ドルの損害賠償を求めた訴訟で23日、シカゴの同州地裁陪審は、女性側は立証不足とするメーカー側主張を認め、訴えを退ける評決を下した。写真は2019年10月撮影(2024年 ロイター/Brendan McDermid/Illustration)
Diana Novak Jones
[シカゴ 23日 ロイター] - 胸焼け薬「ザンタック」(既に販売中止)服用で結腸がんを発症したとして、米中西部イリノイ州の女性(89)が医薬品メーカーの英グラクソ・スミスクライン(GSK)とドイツのベーリンガーインゲルハイムに6億4000万ドルの損害賠償を求めた訴訟で23日、シカゴの同州地裁陪審は、女性側は立証不足とするメーカー側主張を認め、訴えを退ける評決を下した。
ザンタック(一般名ラニチジン塩酸塩)は1983年に承認され、年間売上高が10億ドルを超えた初めての医薬品となった。その後、発がん性物質N―ニトロソジメチルアミン(NDMA)が検出され、2020年に米食品医薬品局(FDA)が販売中止を求めた。これを受けて大量の訴訟が起こされた。このうち、結腸がん発症との因果関係を巡る訴訟は数千件に及び、今回は初の評決となった。
今回の訴訟でメーカー2社は結腸がんの要因のうち、少なくとも一部がザンタック服用であるとの証明に欠けると主張。評決はこれに同意する内容となった。
2社は評決後に声明を発表し、ザンタックはがんを引き起こさないとの科学的証拠と一致する評決であり、今後同種訴訟が起こされた場合も全面的に争うと強調した。
原告側弁護士の1人は今回の評決を尊重すると述べた。ただ、今後の同種訴訟ではメーカーに責任があることが認められると確信すると述べた。
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