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日米、中国を「最大の戦略的な挑戦」と位置づけ 安保協力さらに強化
1月11日、ブリンケン米国務長官は、2027年度までに防衛費を倍増する日本の決定を評価する立場を示した。写真は昨年11月、ブカレストで代表撮影(2023年 ロイター)
[ワシントン 11日 ロイター] - 日米両政府は11日、ワシントンで外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開き、中国を「最大の戦略的な挑戦」と位置付けることで一致した。米国は、「反撃能力」の保有を含め日本が決定した防衛力増強を支持するとともに、沖縄県に駐留する海兵隊を離島有事に即応する部隊に改編することを表明した。
ブリンケン国務長官は会談後の共同会見で「中国がわれわれや同盟国、パートナーが直面する最大の共通する戦略的な挑戦という見方で一致している」と発言。林芳正外相は「自らの利益のために国際秩序を作り変えようとする(中国の)外交政策は日米同盟と国際社会にとって深刻な懸念だ」と語った。
米側は、対艦ミサイルを装備した「海兵沿岸連隊(MLR)」を日本に導入する計画を発表。日本の防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲を、宇宙に拡大することで日本側と合意したことも明らかにした。
MLRは、沖縄に駐留する第12海兵連隊を改編する。2000人規模の部隊が対艦ミサイルを運用し、高度な諜報・偵察・輸送活動に従事する。改編作業は2025年までに完了する。約1万いる沖縄県の海兵隊の規模は変更しない。
また、陸軍は今年春、神奈川県の横浜港にある在日米軍の施設に小型揚陸艇の部隊を新編する。13隻・約280人の輸送部隊で、米軍と自衛隊の人員、装備、物資を南西諸島などに迅速に展開できるようにする。
日本が昨年末に決めた防衛力増強について問われたブリンケン国務長官は、「米国と日本の戦略は合致しており、新戦略を心から歓迎する」と評価。「投資を増やし、役割、任務、能力を強化し、日米間だけでなく他の同盟国やパートナーとの協力を緊密にする決意を称賛する」と述べた。
日米が懸念を共有する中国は昨年夏、ペロシ下院議長(当時)の台湾訪問をきっかけに台湾海峡で軍事演習を実施。弾道ミサイル1発が日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。
オースティン国防長官はこの日の会見で、台湾周辺の海空域で中国軍の活動が活発化していることに言及した上で、「侵攻が差し迫っていることを意味するかどうかについてはかなり疑問視している」と述べた。
*主な合意事項
・日本の反撃能力の効果的な運用に向け、日米間での協力を強化
・沖縄の第12海兵連隊を2025年までに離島防衛部隊に改編
・日米安保第5条の適用範囲を宇宙に拡大
・極超音速ミサイルに対応する迎撃システムの共同開発の可能性を検討
・横浜の在日米軍施設に陸軍の小型揚陸艇部隊を新編
・南西諸島を含む地域で日米施設の共同使用を拡大。共同演習・訓練を増加