ニュース速報

ワールド

米ロ首脳が初会談、核軍縮・サイバー問題で対話枠組み

2021年06月17日(木)10時33分

バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領が、ジュネーブで首脳会談を行った。6月16日撮影(2021年 ロイター/Sputnik/Mikhail Metzel/Pool via REUTERS)

[ジュネーブ 16日 ロイター] - バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領は16日、ジュネーブで会談し、サイバーセキュリティや核軍縮に関して2国間対話を開始することで合意した。一方、人権問題やウクライナ情勢については、溝が浮き彫りになった。

両首脳が対面で会談するのは今回が初めて。会談は約3時間に及んだ。プーチン氏は、敵対的ムードはなく、建設的な対話だったと評価。バイデン氏も対面式の会談に代わるものはないと述べた。

バイデン氏は、サイバーセキュリティなど米国にとり重要な分野を説明し、ロシアがそうした分野を侵害すれば相応の措置を取ると伝えたと述べた。

重要なインフラを攻撃の対象にすべきでないとして16の分野を明記したリストをプーチン氏に手渡したことを明らかにした。通信やヘルスケア、食料、エネルギーといった分野が挙がったとみられる。

バイデン氏によると、両首脳はサイバー問題を巡り専門家会合を設置することで合意した。プーチン氏も会見で、バイデン氏の提案に直接言及しなかったものの、サイバー問題を巡る「話し合い」を開始することで合意したと語った。

<戦略的安定に向け対話>

両国は会談後に共同声明を発表し、将来の軍縮やリスク軽減措置などを協議する2国間の戦略的安定対話を開始することでも合意したと明らかにした。

共同声明は「新戦略兵器削減条約(新START)を最近延長したことは、核兵器の管理に尽力していくわれわれの姿勢を示す一例だ。われわれはきょう、核戦争に勝者はなく、核戦争を初めてはいけないという原則を再確認した」としている。

その上で、米国とロシアは将来の軍備管理とリスク軽減に向けた基盤を築くため、戦略的安定対話に着手するとした。

米国とロシアは今年2月、新STARTの5年間延長で合意している。

両国はさらに、互いに一時帰国させている大使の復帰でも合意した。バイデン氏は今年3月、プーチン氏について「人殺し」との認識を示した。ロシアはこれに猛反発し、駐米大使を召還。米国もその後、駐ロ大使を召還した。

<人権問題やウクライナ情勢では溝>

人権問題やサイバー攻撃、ウクライナ情勢を巡っては、両国の溝は埋まらなかった。バイデン氏は、ロシアで収監されている反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が死亡すれば、ロシアに「破滅的」な影響を及ぼすと指摘。また、サイバー攻撃に関しては、身代金を要求するランサムウエア攻撃を取り締まるようロシアに求めた。

一方、プーチン氏は会見で、ナワリヌイ氏やウクライナ国境付近のロシア軍増強などに関する米国の懸念を一蹴。米国を狙ったサイバー攻撃ではロシアに責任があるとの米側の主張も否定した。

米国とロシアの関係は、2014年のロシアによるクリミア併合や2015年のシリアへの介入、2016年の米大統領選への介入疑惑を巡りここ数年悪化している。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国で「南京大虐殺」の追悼式典、習主席は出席せず

ワールド

トランプ氏、次期FRB議長にウォーシュ氏かハセット

ビジネス

アングル:トランプ関税が生んだ新潮流、中国企業がベ

ワールド

アングル:米国などからトップ研究者誘致へ、カナダが
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 2
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    「前を閉めてくれ...」F1観戦モデルの「超密着コーデ…
  • 5
    現役・東大院生! 中国出身の芸人「いぜん」は、なぜ…
  • 6
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 7
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 8
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 9
    「体が資本」を企業文化に──100年企業・尾崎建設が挑…
  • 10
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中