ニュース速報

ワールド

シリア政権軍、反体制派の拠点アレッポの大部分を制圧

2020年02月17日(月)11時57分

2月16日、シリアのアサド政権軍は、反体制派の拠点である同国北西部アレッポ県に進攻し、その大部分を制圧した。写真は15日、シリア北部アザズを移動する国内避難民(2020年 ロイター/Khalil Ashawi)

[アンマン/ベイルート/アンカラ 16日 ロイター] - シリアのアサド政権軍は16日、反体制派の拠点である同国北西部アレッポ県に進攻し、その大部分を制圧した。国営メディアが伝えた。シリア北西部での緊張激化を受け、トルコとロシアは17日に協議を開く見通し。

シリアの反体制派を支援するトルコは、アサド政権軍の北西部イドリブ県での攻撃で過去2週間に自国の兵士13人が殺害されたことに憤慨し、同政権軍を支援するロシアに攻撃を停止するよう要請。月末までに政権軍がイドリブなどから撤退しなければ、軍事力を行使して政権軍を追い払うと警告している。

ロシア軍の戦闘機は16日にアレッポで激しい空爆を実施。アレッポの都市アナダンはその後、イランを後ろ盾とする民兵組織の支援を受けているシリア軍部隊によって制圧された。反体制派軍の関係筋によると、反体制派の兵士らは同地域から撤退した。

人権団体「シリア人権監視団」(英国)の幹部、ラミ・アブドルラーマン氏は「アサド政権軍は、これまで8年間、1つの村さえも制圧できなかった地域をたった1日で掌握した」と指摘。政権軍は同地域で急速に軍を前進させていると述べた。

トルコのチャブシオール外相は16日、前日にロシア外相に対し、イドリブでの進攻を停止するよう訴え、恒久的な停戦を呼び掛けたと明らかにした。訪問先の独ミュンヘンで記者団に語った。

そのうえで、17日にモスクワで両国の当局者らが協議を開くと明らかにした。

また、ミュンヘンで開かれた安全保障会議で米国の議員らと面会したと述べ、米政府はトルコとの関係改善に力を尽くすべきだと語った。

一方、米ホワイトハウスは16日、トランプ大統領とトルコのエルドアン大統領が15日に電話会談したと発表。トランプ氏はイドリブでの衝突に懸念を示し、人道上の大惨事阻止に向けたトルコの取り組みに謝意を表明したという。また、ロシアがアサド政権への支援を停止し、衝突が政治解決されることに期待感を示した。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、「NATO攻撃の意図なし」法的文書で確認の

ワールド

モスクワで車爆発、ロシア軍幹部死亡 捜査当局「ウク

ワールド

トランプ氏、グリーンランド特使にルイジアナ州知事を

ビジネス

中国万科の社債権者、返済猶予延長承認し不履行回避 
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 9
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 10
    70%の大学生が「孤独」、問題は高齢者より深刻...物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中