ニュース速報

ワールド

カタール、LNG契約交渉で日本側に強硬姿勢 権益排除も

2017年05月31日(水)10時09分

 5月30日、カタール国営石油会社カタール・ペトロリアム(QP)が、天然ガスの売却先である日本企業に対し、長期供給に関する契約交渉で厳しい要求をしないよう求めている。写真は4月3日、ドーハで記者会見するQPのサード・カービ最高経営責任者 (2017年 ロイター/Naseem Zeitoon)

[ドーハ/ロンドン 30日 ロイター] - カタール国営石油会社カタール・ペトロリアム(QP)が、天然ガスの売却先である日本企業に対し、長期供給に関する契約交渉で厳しい要求をしないよう求めている。同社は液化天然ガス(LNG)事業から日本企業を排除する可能性も示しているという。複数の関係者が明らかにした。

LNGを巡っては、2019年までにカタールを抜いて世界最大の輸出国になるとみられるオーストラリアなど、新たな供給元との競争が激化。このため、買い手側はより低価格で短期間の契約などを求める傾向が強くなっている。

生産会社カタールガスとラスガスを傘下に置くQPは、日本では東京電力ホールディング<9501.T>と中部電力<9502.T>の共同出資会社JERAが主な取引先。現行の契約では2021年まで年間720万トンを供給する内容。QPの生産量の10%で、契約額は約28億ドルに上る。

また、日本の総合商社である丸紅<8002.T>や三井物産<8031.T>はカタールガスの開発事業でそれぞれ7.5%の権益を保有している。

日本のある外交筋は「日本側が無理を要求をしたり、豪州など他国からのLNG購入を決めたりすれば、カタールは日本企業をカタールガスの事業権益から締め出すこともあり得ると言っている」と明かした。

QP関係者も、再交渉協議が日本企業が持つLNG事業権益に影響する可能性があると認めた。

日本の商社筋は「中部電力は豪州や米国から十分な供給を受ける契約をしており、カタールからの供給がなくてもやっていける」と述べている。

一方QPにとっては、日本での地盤を失った場合、アフリカや中東、南アジアなどより信用度の低い購入先を求める必要が出てくる。

ただ、カタールは生産コストが最も低い水準であることから、価格をさらに下げられるという優位さもなおあるとみられる。

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国、ガリウムやゲルマニウムの対米輸出禁止措置を停

ワールド

米主要空港で数千便が遅延、欠航増加 政府閉鎖の影響

ビジネス

中国10月PPI下落縮小、CPI上昇に転換 デフレ

ワールド

南アG20サミット、「米政府関係者出席せず」 トラ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216cmの男性」、前の席の女性が取った「まさかの行動」に称賛の声
  • 3
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評家たちのレビューは「一方に傾いている」
  • 4
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 7
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 8
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 9
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 10
    「非人間的な人形」...数十回の整形手術を公表し、「…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 8
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 8
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中